ー奇談ー學校へ行こう4

ー教室ー

毎夜行われる、浮き世離れした夜の授業。
今日も取り壊されないまま、時代から取り残された廃校で授業が始まろうとしていた。

後楽「ほいっ。ピンぞろ、おじさんの勝ちだ」

義鷹「……」

後楽「はっは~毎度あり。」

悠「待て」

後楽「おっ?」

悠「なにイカサマで巻き上げてる」

後楽「イカサマじゃないぜ。」

悠「振った賽みせてみろ。」

後楽「おっと、野暮用思いだした。それじゃあな」

悠「こぉらっ!!ちっ……逃げたか。」


千世子「はいはーい、じゅぎょー開始するのだ。」

【釣鐘下ろし】
木から突然落ちてくる首

義鷹「くっそ。仕込み賽かよっ!」

悠「あんな狸となんで賭けなんてしたんだよ。」

義鷹「暇つぶし……の、つもりだったが熱が入った。」

悠「おぃおぃ……典型的にダメな奴のセリフぢゃん」

千世子「古来より木々には、不思議な力が宿るとされた事があるのだ。世界的に見ても、樹木に緑を持つ精霊や妖精、神や悪魔という伝承は多く、妖怪もその例外ではないのだ。そして釣瓶下ろしも、そんな樹木に縁を持つ妖怪なのだ。」

亘理『それにしても、よくイカサマってわかったね。』

悠「後楽が勝ってる時点でおかしいからな」

摩耶「運のパラメーターマイナスタイプだしね。」

揺光【寄生者から運を吸う場合もあるがの】

悠「それは……困る。」

千世子「釣瓶下ろしは、カヤや松の大木に住むといわれる妖怪なのだ。別名を「釣瓶落とし」と言い、近畿、四国、九州などに出没したといわれているのだ。」

雨「そもそもあの古狸いつまでいるの?」

悠「おれが聞きたい。」

揺光【極論を言えば寄生者の家を潰すまでじゃ】

悠「だから困るっーの」

揺光【勿論、奴の呪術に対しては、妾の呪力で相殺しとるから取り潰される心配は無い、心配は無いが……代わりに永遠に寄生する可能性はある。】

要「引くも敵わず、進むも難だな」

千世子「夜、大木の下を通ると、突然生首が落ちてきて通行人に襲いかかる。あるいはあるいは釣瓶を落としてすくい上げるのだ。」

なのは「釣瓶ってなに?」

摩耶「釣瓶師匠の事だよ」

雨「違うでしょ!」

千世子「釣瓶とは井戸から水を汲み上げる桶の事で、妖怪が木のうえから落ちてくる動きがこの釣瓶に似ていることから、その名前が付けられたようなのだ。」

悠「寄生くらいなら……まだいいか」

義鷹「いいのかよ」

悠「そのくらいなら妥協するしかあるまい」

千世子「釣瓶おろしは「夜なべ済んだか、釣鐘下ろそか、ギィギィ」と声をあげながら落ちてきては、ひとを木のうえまでつり上げ、食べてしまうというのだ。ただしひとを襲うのは空腹の時だけで、満腹の際には大人しくしているようなのだ。」

亘理『でもでも悠ちゃん、取り憑かれてるんだよ?』

悠「取り憑かれなくても厄介な物には好かれ馴れてるからな」

摩耶「鬼から龍まで取り揃えおります~みたいだね」

千世子「怪談本「百物語評判」では、鞠のような火が上下するものを釣瓶下ろしと呼んでいるのだ。これは妖怪画集「図画百鬼夜行」では「釣瓶火」と呼ばれる妖怪なのだ。「百物語評判」では中国の陰陽五行説をもとにして、木生火、すなわち木が火を生んだものが釣瓶下ろしの由来だと説くのだ。釣瓶下ろしが大木や古木だけに現れるのは、若木にはまだ木の氣が満ちておらず、火を生み出す力が無いからだというのだ。」

フェイト「じゃあ、私は雷?」

神姫「陰陽五行で例えるなら木、火、土、金、水。雷は地、地は土、だから土かしら」

悠「赤龍の氣か。」

神姫「悠も中途半端に赤龍門を叩いてたわね。」

悠「完全に弩躬にしてやられたけどな。足と地面がついてないと赤龍の力が半減するとか聴いてなかった。」

神姫「聞かない方が悪いのよ。」

千世子「また、釣瓶下ろしの火は陰火といって、草木は焼かず、水によって逆にその火勢を増す火であるのだ。そのため、釣瓶下ろしは雨の日によく出没すると書かれているのだ。以上、釣瓶下ろしのじゅぎょーだったのだ。」
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