ー奇談ー學校へ行こう4

ー教室ー

毎夜行われる、浮き世離れした夜の授業。
今日も取り壊されないまま、時代から取り残された廃校で授業が始まろうとしていた。

摩耶「こんばんわ」

千世子「あっ!摩耶君なのだっ!!」

摩耶「ちょこちゃん久しぶり」

千世子「もう用事済んだのだ?」

摩耶「うん。とりあえずひと段落したよ」

千世子「じゃあ、今日からじゅぎょー戻るのだ?」

摩耶「もちろん」

千世子「よーし、じゃーさっそく開始なのだ!!」

【古椿の霊】
ちょっぴりホラー、でも愛される。

悠「よう。」

摩耶「やほー。」

悠「摩耶が居なくてマヤニウムが不足寸前だったぞ」

摩耶「この前、焼き肉いっしょに食べたじゃん」

悠「あれは摩耶メインで食べてたけどな」

千世子「江戸時代の絵師、鳥山石燕は、妖怪画集の中で、古い椿は怪しい形になってひとをたぶらかす事がある、と書いているのだ。タンタンコロリンのように、古い木はあやしい事件を起こすことが多いというのだが、数ある樹木のなかでも椿は特にさまざまな逸話を持つのだ。」

悠「そうそう、おれさ昨日スライムに襲われたぜ」

摩耶「どんな感じだった?」

悠「新感覚だった。」

千世子「岐阜県南西部にかつて存在した「青墓村」には、妖怪になった椿の木「古椿の霊」の伝承が残っているのだ。この椿は「古墳」という墓のうえに植えられたものなのだが、夜中に古墳近くを通りかかると、椿の木があるはずの所に美女が現れ、道の端でぼんやりと輝いているというのだ。そもそもこの椿の木は、この古墳が発掘されたときに、古墳の主の祟りを鎮めるために植えられたものらしいのだ。」

なのは「悠さん、摩耶くんがきて凄く元気になったの」

フェイト「ホントだね。」

雨「あの二人デキてるんじゃないの?」

亘理『な、なんですと?!』

千世子「山形県には、同じように人間の女に化ける椿の木の伝承があるのだ。この椿は道行く人に息を吹きかけ、その犠牲者を蜂に変身させたうえで殺してしまうというのだ。」

揺光【雑食じゃから無きしにも有らずじゃろ。昨日も義鷹を大好きといっておったしの】

灼羅「あれは助けてくれた上での叫びに思ったけどね。」

神姫「スライムに捕食されかけてたって、今改めて考えると面白いわね」

雨「鬼だ」

神姫「残念、竜であり、神であり、姫よ」

悠「ひゅー、COOL!!」

千世子「熊本県には、椿の木ですりこぎを作ると木心坊という妖怪になるという民話があるのだ。椿の木で作った小槌は化けるので家に置くなという伝承も有り、樹木だけでなく椿製品にも不思議な力があると信じられていたことがわかるのだ。」

要「ところで摩耶君はなにしたんだ?」

摩耶「んー……ドッペルゲンガー退治?」

悠「あー?」

摩耶「んーん、なんでもないよー」

千世子「椿は神の意志を示す聖なる木として生まれたと考えられているのだ。人魚の肉を食べて不老不死となって八百比丘尼は、全国をまわりながら椿の木を植えていったとされており、椿を植えたら長寿になるといわれているのだ。」

摩耶「でも、椿ってけっこう迫力あるよね。怖いい意味のほうで」

悠「椿と牡丹はあるなぁ。一面の彼岸花とかも」

千世子「一方、椿を不幸なもの、死を呼ぶものと考える傾向もあるのだ。家に植えると縁起が悪い、不幸がある、ひとが死ぬなどの言い伝えや、植えてはいけない場所が決まっている場合もあるのだ。」

悠「見舞いに椿の花を持ってくのは縁起悪いしな」

なのは「どうしてですか?」

悠「花が散るとき花弁が散らずに、花全体がぽろっと落ちる姿が、首を落とされたように見えるからさ」

千世子「一方、椿を霊樹として神木とする神社は各地にあり、寺や墓地にも多くみられるのだ。椿が神聖とされるか、不吉とみなされるかは場合によるけど、椿が強い力を持っているということは皆の認める所であるのだ。いじょー古椿の霊のじゅぎょーだったのだ。」
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