ー奇談ー學校へ行こう4

ー教室ー

毎夜行われる、浮き世離れした夜の授業。
今日も取り壊されないまま、時代から取り残された廃校で授業が始まろうとしていた。

悠「あーあーあー、摩耶がこないよーん」

亘理『あたしがいるぢゃん!』

悠「居るなぁ」

亘理『なんだその反応わっ!もつと喜べよぉー!』

悠「はいはい、お前といるとタノシイヨ。」

亘理『ちゃんといえーー!』

揺光【今日も賑やかじゃな。コンコン♪】

後楽「しかし、なんで兄ちゃんばっかりなんだろうな……」

揺光【少なくとも浮浪者では無いからじゃろ】

後楽「それなら兄ちゃんは不審者だろ」

悠「誰が不審者だ!ただ、夜散歩してたらやたら職質されるだけだ!!」

雨「立派な不審者だよそれ。」

千世子「あんちんが逮捕されないことを祈って、じゅぎょー開始なのだ。」

【人魚】
美女かと思えばモンスター

悠「しかし、警察もたるんでるよな三回に一回しか職質しないなんて、おれだったら普通に交番連れてくけど。」

神姫「それ、自分の事いってるのよね?」

悠「そうだよ勿論。」

千世子「一般的に人魚というと、人間の上半身に魚の下半身を持つ西洋のマーメイドが思い浮かぶのだ。しかし日本や中国など、東洋にはまったく違う人魚がいるのだ。」

雨「そこまで分かってるなら改めたらどうなの」

悠「自分のアイデンティは崩したくないんだ」

後楽「おじさんもアイデンティを貫いてるから働かないしな」

悠「てめぇは今すぐハロワ行って来い」

千世子「東洋の人魚の姿は、基本的に魚の身体に人間の頭がついたもので、マーメイドのような美しさからはかけ離れているのだ。ただし地域によっても、人魚の姿は違い、海中の貴婦人と呼ばれるほど美しいと賞賛されることも有れば、子どもの頭を持つ魚と呼ばれたり、オスメスとも区別もつかない正体不明の外見と書かれることもあるのだ。」

悠「人面魚ならぬ人頭魚だな」

神姫「間違いなく石ぶつけるわね」

揺光【銛の方がいいじゃろ】

灼羅「血なまぐさい奴らじゃな」

悠「……人魚なら寝れるかもしれないけど、人頭魚はきついなぁ」

義鷹「お前の発言が一番きついっーの」

千世子「人魚の伝承は、日本最古の歴史書「日本書紀」など多くの文献が残っているのだ。なかでも富山県に出現したという人魚は外見の異常さがきわだつのだ。この人魚は体長11メートルも有り、鱗は金銀に輝き、頭には白い角、顔つきこそやさしいが、口から火炎を吐くというのだ。」

悠「ナバルデウス希少種じゃね?」

亘理『なるほど確かにそうかも』

神姫「無いない」

千世子「この人魚が出現すると海は赤く光、その声は三キロ先まで聞こえる。加賀藩の大名「前田利常」は、この人魚を退治するために家来1500人に鉄砲450挺を持たせて出動したという記録があるのだ。」

悠「やっぱりナバルデウス希少種だって」

亘理『激流ブレスじゃなく、水中で火を吐くなんて強敵だね』

神姫「龍撃槍で頭から串刺しにしてやりなさいよ。ついでに樽爆敷きつめて」

悠「ボマー発動しとかないとな」

千世子「人魚の肉を食べた者は、若い姿のまま長生きするという伝説があるのだ。そのような伝説でもっとも有名な物は福井県南部に伝わる「八百比丘尼」の物語なのだ。八百比丘尼の伝説は、父が持ち帰った人魚の肉を、娘が誤って食べてしまった事から始まるのだ。10代の美しい姿のまま、娘は何百年も生きたのだが、結婚しては夫に先立たれ、村人には気持ち悪がられて悲しい人生を送ったのだ。世をはかなんだ娘は出家して「八百比丘尼」と名乗り、貧しい人のために尽くし続けたというのだ。」

悠「つらいなぁ。不死なんてのは」

揺光【どう取るかは本人次第じゃろ。妾から見れば人間は短すぎる。】

悠「だからこそ足掻いて、蹴落とされ、殴られて、奪いとられて、血を吐いてそれでも人間は短い生を這いつくばって生きる。だから美しいんだよ」

千世子「また、人魚の肉には、食べても不老不死にはならないが、とても美味しいという伝承も有るのだ。このほか、人魚の肉で無く骨が薬として役立つ、食べなくても見ただけで寿命が延びて幸せになる、という説もあるのだ。しかし、人魚による恩恵は表裏一体なのだ。八百比丘尼が不幸な人生を送ったのが典型的な例なのだ。逆に人魚に被害を受けた者には、幸運がやってくる。前田利常の指示で人魚に立ち向かった家来たちも、幸運を身につけたというのだ。波乱万丈な生活を望むなら、人魚を探してみるのもいいかもしれないのだ。以上人魚のじゅぎょーだったのだ。」
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