ー奇談ー學校へ行こう3

ー教室ー

毎夜行われる、浮き世離れした夜の授業。
今日も取り壊されないまま、時代から取り残された廃校で授業が始まろうとしていた。

義鷹「なんだ、治ってるな」

悠「幸い薄皮一枚程度しか切れてなかってな」

神姫「おかしいわね……。鼻くらいはパックリ裂くつもりでやったのに……鈍ったかしら」

悠「容赦なさすぎだろっ!!」

神姫「もう一回試させてくれない?」

悠「お断りだよ!!」

千世子「はーいはいはい、昨日のつづきするのだ。鎌鼬によってつけられる傷の深さは、かすり傷程度のものから、骨が見えるほど深く切られたものまでさまざまなのだ。」

亘理『そりにしてもぉ~顔固いの?』

悠「顔が硬いってなんやねん」

亘理『いや、切れなかったっていうから』

悠「皮膚を硬化したんだよ。」

義鷹「なるほど」

悠「いや、冗談だから納得しないで。」

千世子「明治七年に書かれた『想山著聞奇集』という本によれば、鎌鼬によってつけられた傷は初めは痛みも出血などもないが、やがて激痛とともに大出血となり、最終的には死んでしまうというのだ。ちなみに、鎌鼬によって傷を部位はほとんどが足で、そのため鎌鼬は地面から三十センチほどの高さまでしか飛べないのではないかといわれてるのだ。」

雨「じゃあ、アンタも時期に激痛が走って大出血して死ぬ?」

悠「止めてください。ぶっちゃけると受け止めたんです。だから、傷が薄いだけなんです」

神姫「受け止めた?」

悠「道玄のおっさんに聞いてないか?おれは一度、龍剄気孔を挟み潰してる経験がある。」

神姫「そういえば……トルクアップさせてハンマーのように挟み潰したらしいわね。」

悠「それと同じ要領で蒼龍の爪を白刃取りしたんだよ。けど、文字通り爪先が当たって切れた。完全には取れ切れなかったってこと。」

神姫「空龍は真空を発生させる龍剄だし……真空の波を消せるのも理にかなってるわね……ムカつくけど」

悠「いろいろと酷すぎませんか?」

千世子「ほとんどの場合、鎌鼬は道端や川辺でひとを襲うことが多いが、ときには家の中に出没する事も有ったのだ。江戸時代には、下駄を履こうとした男性や、トイレで用を足そうとした女性が襲われた記録があるのだ。」

亘理『とるくあっぷってなに?』

悠「圧力上伸のことだ。めちゃくちゃ簡単にいったら超馬鹿力を拳を握ること」

神姫「色々省略しすぎてる説明だけどね」

千世子「鎌鼬の正体は地方によってさまざまに語り継がれているのだ。多くの場合、名前どおり、刃物を持ったイタチが正体だとされているが、なかには鬼神の刃に当たってしまったために切り傷を負う現象などと、大げさな由来が語られることもあるのだ。」

悠「鬼神っていうか鬼ならゴロゴロしてるけどな」

神姫「ゴロゴロはしてないでしょ。」

悠「いや、鬼は一匹見かけたら三十匹はいると言われてるから」

神姫「それ、雲水さんに伝えとくわね。」

悠「土下座か?金か?なにしたらいい?」

義鷹「手のひら返すの早ぇな」

千世子「岐阜県の山岳地帯「飛騨」地方では、鎌鼬は三人組の神だというのだ。まずひとりめの神が人間を転ばせ、ふたりめの神が切りつけ、三人目の神が薬を塗って、瞬間のうちに血を止めるのだ。そのため飛騨の鎌鼬現象では出血しないのだ。」

神姫「土下座はいいからノーガードで蒼龍の爪うけてくれない?」

悠「……」

神姫「ふふっ、冗談よ」

千世子「近年鎌鼬は、皮膚が急激に冷やされたせいで裂けてしまう現象で、寒さで指先が裂ける「あかぎれ」に似た現象だと考えられているのだ。鎌鼬の伝承が甲信越地方など寒冷地に多い事も、この説を裏付けているのだ。いじょー鎌鼬のじゅぎょーだったのだ。」
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