ー奇談ー學校へ行こう

ー教室ー

悠「それで君は?」

千世子「大葉千世子(おおばちよこ)。」

悠「チョコちゃんか。」

千世子「ちよこ。」

悠「ぴよこちゃんな」

千世子「ち~よ~こ~!」

パタパタと袖で振って抗議している。

摩耶「それで千世子ちゃんはこんな時間に何してるのかな?」

千世子「先生。」

悠「は?」

千世子「千世子は将来先生になるんです。だからここで先生してたんです。」

悠「ひとりで先生ごっこ?こんな時間にこんな廃校で?」

千世子「千世子は闇の眷族の子孫だから夜が千世子の時間なのだ。そして、こんな廃校は私の所有物なのだ。」

千世子は慎ましいまな板胸を張ってふんっと鼻をならした。

悠「なんか痛いこといったな」

摩耶「闇の子孫ってなに?」

千世子「闇の眷族といえば誇り高き吸血鬼に決まってるでしょ」

悠「どっからどうみても日本人だろ。黒髪だし」

千世子「ちゃうもん!見てみなよこの目!呪われし赤と金の邪眼を!」

ぱちりと開いた目は確かに赤と金色をしている。

摩耶「それ、カラコンだよね?目に悪いからやめた方がいいよ」

千世子「ち、違うし。本当に邪眼だし」

摩耶「悠くん。」

悠「……邪眼じゃないけど俺の目は金と青のオッドアイだぞ。ほれ」

髪をあげて、目を見せた。

千世子「ほ、本物の吸血鬼!?」

悠「誰が吸血鬼だ。っか、俺の目についてなんかいうなら子供でも怒るぞ」

千世子「……」

悠「なんだよ」

千世子「もしかして千世子の僕(しもべ)?前世で血の契約をした者か?」

悠「会話のキャッチボールをしてくれ…。」

摩耶「その血の契約とかは置いといてここが君の所有物っていうのは?」

千世子「この土地は千世子の土地だから。」

悠「は?」

千世子「千世子の家はここの裏手にあって、ここはその土地内の一部なの」

悠「マジか…けど、なんでこんなのが残ってる。普通取り壊したりするだろ?」

千世子「ここはビルに囲まれた場所。工事をしても時間と手間がかかるから放置してる。それで千世子の聖域にしている」

よくみたらこの教室は掃除されている。

悠「なんて遊び場だよ」

千世子「聖域!」

悠「吸血鬼の子孫なのに聖域か?」

千世子「デビルサンクチュアリなの!」

悠「あのなぁ、夜中に黒板に魔方陣でも描いて悪魔召喚でもする気かよ。それで魔立邪悪学園か?」

千世子「……それいい!お前やっぱり千世子との契約者だな」

悠「誰がじゃい。っか、お前言うな」

千世子「まだ、名前教えてもらってない。」

悠「あ、それはすまん。小鳥遊悠だ」

摩耶「摩耶だよ。」

千世子「悠あんちんと摩耶か。よぉし、千世子の生徒にしてあげよう」

なにか面倒な事に巻き込まれたようだ。
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