ー奇談ー學校へ行こう3

ー教室ー

毎夜行われる、浮き世離れした夜の授業。
今日も取り壊されないまま、時代から取り残された廃校で授業が始まろうとしていた。

摩耶「はっ……くちゅん……殺」

悠「大丈夫か?」

摩耶「うん。ちょっと、寒かっただけ」

要「いま、サラッと怖いこといわなかったか?なぁ?」

悠「気のせいだろ」

摩耶「あはは」

悠「でも、くしゃみした後って、つい、なんかいっちゃうよな。おれも馬鹿ヤローっとか言いたくなるし」

摩耶「だよね。」

要「……」

悠「しかし暖房が欲しいな。」

冥「買ってきたら取り付けてくれるのナ?」

悠「おや、管理人ちゃん。そんな余裕あるの?」

冥「要望に答えるのも管理人の仕事ナ」

悠「取り付けるくらいならできるけど……室外機は出来るかなー。」

摩耶「悠君の寒さが解消されると思ったら?」

悠「やる気が出て来たぜ」

義鷹「だったら、メフィストに買わせろよ。お前、アイツから二百万受け取ってないんだろ?二百万円分、暖房器具買わせりゃいい」

悠「なるほど、ぴよこー?」

千世子「なにーなのだ?」

悠「お前、欲しい暖房器具何がある?」

千世子「ホットカーペットとエアコンとコタツなのだ」

悠「らしいです」

冥「了解なのナ。メフィストさんに伝えとくニャ」

悠「よろしくなのナ」

摩耶「悠くん、うつってる」

悠「おお。」

千世子「じゅぎょーはじめていいのだニャ?」

悠「いいぞ。っか、うつって語尾が渋滞起こしてるぞ」

千世子「コホン……えっと、のっぺぼうのじゅぎょーの続きで東北地方南部の福島県や、その西にある新潟県には「朱の盤」という妖怪が居るのだ。実はこの手の盤の物語も「再度の怪」のパターンなのだ。朱のは、顔のパーツが足りない事ではなく、異常な形の顔で人間を驚かすのだ。顔は赤く、耳まで裂けた口、皿のような目、針のような髪をしていて、額には一本の角があり、歯を噛みならすと雷のような音がするのだ。」

揺光【なんじゃ寒いなら妾を抱きしめたら善い物を】

悠「そのまま喰われそうだから嫌だ」

揺光【人に見られながらするのが好みじゃったのか?】

悠「性的にの意味じゃねーよ!!」

千世子「のっぺらぼうや朱の盤のように、二回にわたって人間を驚かせる物語の原型は、中国の『捜神記』にあるというのだ。『捜神記』とは、日本では弥生時代にあたる、317年~420年の東晋の時代に、不思議な現象について書かれた小説なのだ。この本には主人公が怪物に2回驚かされる物語があって、この物語が日本に伝わって、「再度の怪」の怪談が生まれたのだと考えられているのだ。」

神姫「……揺光は狐なのよね?」

揺光【そうじゃ】

神姫「なら、寝たら獣姦になるのかしら」

悠「とんでもないことをサラッといわんでくれ。」

揺光【悠はすでに経験……】

悠「アナタもお願いですから喋らないでください!」

千世子「『怪談』の物語では、のっぺらぼうの正体は狢(むじな)、もしくは獺(かわうそ)が化けたものといわれているのだ。しかしそれ以外のほとんどの伝承では、のっぺらぼうの正体は「狐や狸が化けたもの」とされているのだ。」

なのは「狐や……」

揺光【コンコン♪】

フェイト「狸……」

後楽「Zzz……Zzz……」

悠「静かだと思ったら寝てたのか」

千世子「狐と狸と言えば、何かに化けて人間を驚かす動物として有名なのだ。しかし狐と狸では、人間を化かす方法が違うのだ。狐の場合は、美女に変身し、男性を誘惑して化かすことが多いのだ。「九尾の狐」のように、権力者を誘惑して国を混乱させた狐もいるのだ。」

揺光【なつしいのぅ】

摩耶「一国を潰しかけた大妖怪だから凄いよね」

揺光【褒めても何も出んぞ~】

悠「褒めてないだろ」

千世子「しかし中には「葛の葉」のように、平和的に人間と結ばれて子供を産んだ狐もいるのだ。また、男性に化けて女性と関係を持つ狐もいたのだ。ほとんどの場合、人間と狐のあいだに生まれた子供は、優れた人間に育つといわれているのだ。一方狸は、怪物に化け人間を化かすことが多いのだ。ほかにも、大きな音をたてたり、砂をまいて驚かせるなど、狐に比べると方法が単純で、愛嬌のある化かし方をするのが特徴なのだ。以上、のっぺらぼうのじゅぎょーだったのだ。」
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