ー奇談ー學校へ行こう3

ー壱階休憩所ー

毎夜行われる、浮き世離れした夜の授業。
今日も取り壊されないまま、時代から取り残された廃校で授業が始まろうとしていた。

揺光【なんじゃ?妙な力を感じたが何して……!】

袈裟服のおっさん「ん?」

揺光【げっ、お前は狸おやじ!!なぜ此処におる?!】

袈裟服のおっさん「おぉぉ!揺光じゃんか。相変わらずソソる格好だ」

揺光【ええぇい!やかましい!帰れ、今すぐ四国へ帰れ古狸!!】

袈裟服のおっさん「冷たいこというなよ旧友」

揺光【五月蠅い失せろ!!】

悠「揺光の友達かよ…」

揺光【無礼なことをいうな!!ただの腐れ縁じゃ!!奴は化け狸の芝衛門後楽(しばえもんこうらく)!人に寄生する屑じゃ!】

後楽「嫌われたもんだな。かつてのルームメイトじゃねぇか!部屋を片付けてくれるし料理は美味い。超らくちん、俺は好きだぜ?」

揺光【あーゆー奴なんじゃ!!】

悠「え……デキてたのか?」

揺光【あんな屑とあり得るか!!好き好んでやってた訳ではない!!妾が長屋に住んでいたとき奴が隣の住人だった。奴は長期留守にして良く虫を発生させた。仕方なく勝手に掃除していたら、あの阿呆は壁を壊して無理矢理共同(ルームシェア)してきやがったのじゃ。妾も力が弱かった……おかげで妲己と若藻ともコイツと暮らしてさんざん苦労したんじゃ!】

後楽「いい想いでじゃないか。なあ、悠。」

悠「なに、がっつり距離縮めてきてんの?!」

後楽「これからいっしょに暮らすんだから、仲良くならないとな」

揺光【待てゐ!!妾の目の黒いうちは悠にとり憑こう何ぞ許さぬぞ!!】

亘理『そうだー!そうだー!悠ちゃんは皆のだぞー!』

悠「なんか違くね?」

義鷹「知らん」

後楽「そんなに言うんならよォ。賭けで決めようぜ狐。ここにコインがある。コイツを投げて決めようぜ。表が出れば俺はこいつに憑く、裏が出れば諦めるどうだ?」

揺光【……待て、どうせ如何様(イカサマ)硬貨なんじゃろ?裏表同じの】

後楽「うん、そうだよ。イグザクトリー。じゃ、投げるぞー。ハイ!どっちだ?」

揺光【投げるな!やる意味なかろうが!】

後楽「嫌だ。おじさん、この子に憑くって決めたんだもん!!!」

揺光【もんじゃねーよ!!もはや如何様ですらないじゃろ!!】

後楽「仕方ねェなイカサマコインは使わねーよ。今から四五六サイ振るから四か五か六が出たら俺の勝ちな。これでいいだろ?」

揺光【善く無い!!いい要素が一片もないわ!!】

後楽「そういうなよ。俺も狸としてよその家に憑いてたんだが家が潰れちまってな。トマコ狸といっしょにな。」

揺光【お前が潰したんじゃろ。】

後楽「次の家が見つかるまででもいいからおいてくんねぇかな?」

揺光【家を潰す輩は出ていけ】

後楽「家を潰しただなんて心外だぜ……。いつもおじさんは家を富ませるための行動をしていたんだ、そのために家の全財産を万馬券にブッ込んだだけだ。」

揺光【今すぐ消えろ賭博狂いの酒中毒が!!】

悠「揺光、落ち着け。」

後楽「それより。狐、金貸してくんない?倍にして返す」

揺光【収入零の屑に貸す金なんぞ無いわ!!】

後楽「おい口のきき方に気をつけろ。なんでもかんでも無職はニートかい?働きたくても働けねェ無職はなぁニートっていわねぇのよ?」

揺光【お前働く気はあるのか?】

後楽「は?あるわけねぇだろ。お前何いっての?」

揺光【てめぇこそ口のきき方気をつけろ!!】

後楽「ということで、あんちゃん。これからよろしくな。」

悠「……」

どうやら、ぼくはほんとうにじんせいのはぐるまがくるいだしてしまったようです。
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