ー奇談ー學校へ行こう

ー教室(12/6/夜)ー

夜風が舞い街のネオンが校舎を照らす。
今日も八時きっかりに授業がはじまった。

千世子「悠のあんちん」

悠「へーい」

千世子「まーや」

摩耶「はーい」

千世子「くずりゅう神姫…はお休みっと」

摩耶「あの人来るかな?」

悠「一応、声はかけたけどどうだろうな。人付き合いが苦手らしいから」

摩耶「そこは悠くんの腕の見せどころだね。」

悠「買い被るなよ…」

千世子「さて、昨日は娘を竜の生け贄にしようとしたところまでだったなー。竜が棲む沼の近くに王女が縛り付けられ、まさに生け贄にされるというときに、ゲオリギウスという騎士が街を通りかかった。」

摩耶「お、理想展開。ゲオリギウスってこの人なんだね」

千世子「白銀の鎧に身をつつんだこの立派な騎士は、毒竜の話を聞くと、自分が毒竜を退治するといって出掛けたのだ。聖ゲオリギウスがドラゴンの住む沼までくると…」

ガラリと教室のドアが開いた。
三つ編みを九本さげた女性が入ってくる。

神姫「えと…授業に参加していいかしら?」

千世子「……もちろんなのだ!あっ!しまった椅子!椅子がないのだ…。あ、あんちん!」

悠「神姫、ここに座ってくれ。俺は今日床でいいから。」

神姫「わかったわ。」

摩耶「この前はちゃんと自己紹介してなかったよね。僕は摩耶、悠くんの親友」
千世子「私は千世子、大葉千世子なのだ!神姫よろしくな」

神姫「え、えぇ…二人ともよろしく」

悠「(うわ…ガチガチじゃん)」

千世子「さて、今は聖ゲオリギウスのドラゴンの授業中なのだが、神姫は解るかー?」

神姫「黄金伝説にでてくる竜よね。」

悠「それ系のも知ってるのか」

神姫「聖書は目を通したもの」

千世子「優秀な生徒が増えたのだ!じゃあつづけまーす。聖ゲオリギウスの住む沼までくると、水面からドラゴンが顔を出し、王女を襲おうとしていた。聖ゲオリギウスは神に祈ると馬を走らせ、ドラゴンに槍の一突きで瀕死の重傷を与えたのだ。」

摩耶「男だね」

悠「俺なら逃げるな。」

神姫「私なら神に祈ることはしないわね。私が神だし」

千世子「そうして王女を救ったゲオリギウスは彼女の帯を借りて竜の首に巻き付け、まるで犬か馬のように引きずって村まで連れてきた。そしてこう言いはなった。」

『私は神から竜を倒すためにつかわされた。街の者が神を信じてキリスト教に改宗するならこの竜を殺してあげましょう。』

摩耶「うわ、やり口がえげつないね」

神姫「宗教はグレーゾーンよ。必要なのは信者をどう調教するかよ」

千世子「もともとこの街は、キリスト教とは別の神を崇めていた。聖ゲオリギウスの言葉を聞き、街の者はみんなキリスト教に改宗したというのだ。」

悠「俺も神の使いっていったらモテるかな」

摩耶「そんな事しなくても男にはモテてるよ」

悠「できれば女性で」

千世子「はい、今日の授業はここまでなのだ。」
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