ー奇談ー學校へ行こう3

ー教室ー

毎夜行われる、浮き世離れした夜の授業。
今日も取り壊されないまま、時代から取り残された廃校で授業が始まろうとしていた。

悠「んっ?」

摩耶「ん?」

悠「今……いや、まさかな。」

摩耶「え、なにが?」

悠「いやいや、なんのなんの、まさかここは無いだろう」

摩耶「みんなー、悠君がおかしくなったよ」

神姫「それで通常運転(いつみどおり)じゃない」

亘理『あははは』

悠「おい、笑ってんなよ。」

千世子「はいはい、騒いでないでじゅぎょーに集中するのだ。」






ー壱階休憩室ー

揺光【よいしょと。】

冥「あ、お疲れ様ですニャ!」

揺光【なになに、妾の仕事は連れて帰るだけ。なにも徒労は無い。労いならコヤツにいってやれ】

冥「ご足労と無理を聞いていただいて感謝しますニャ」

揺光【コンコン♪いやぁ、面白かったぞ。どの猫も皆、借り来た猫のようにおとなしくなりおったわい。】

マリオ『やれやれ。私に頼む必要なんか無いだろう。』

冥「マリオさんの方が皆、ちゃんと話を聞いてくれるのナ。どうぞ、お茶ですナ」

マリオ『買いかぶられたもんだねぇ。私ゃ只の老い耄れだよ。あと、私ゃ、お茶は飲めないよ。水か牛乳をもらえるかい。』

冥「おっと、失礼しましたニャ。というか、マリオさんはお若いのニャ」

揺光【コンコン♪そうじゃ、そうじゃ。】

マリオ『はは、確かに何百、何千年と生きてるアンタ達よりは若いかもね。でも、もう、私も年さぁ。』

揺光【コンコン♪なら、次は猫又か化け猫、末には猫神になればよい。】

マリオ『冗談きつい。私ゃ、人に化けれず、人語も喋れなきゃ通力も無い。ただの猫さ』

冥「マリオさんなら、今からでもなれますナ」

マリオ『嫌だね。私ゃ、猫として生き、猫として生を全うするのさ。』

冥「ナ~……。」

マリオ『なんて顔してるのさ。私より、立派で力のある者の癖して。』

揺光【しかし、飼い主に似とるのぅ】

マリオ『なにがだい?』

揺光【悠もいっておったわ。人(小鳥遊悠)として生きて人(小鳥遊悠)と死ぬ。とな。】

マリオ『はは、あの子らしいよ。』

冥「マリオさんは悠ちゃんとずっと一緒に居たくないのナ?」

マリオ『おや、酷な質問するじゃないかい』

冥「に゛ゃ?!そ、そういうつもりじゃないのですナ!」

揺光【コンコン♪落ちつけ、落ち着け。】

マリオ『確かに私もあの子とはずっと居たいと思ったことはあるよ……。けどね、人と猫の時間は違う。その理(ことわり)を壊してまで生き永らえる気は無いよ。それに……あの子の死に様なんか見たくないしねぇ。むしろ……私が天に召される時、あの子の泣き顔を見てやるのさ。』

揺光【まったく、妾も顔負けの性格の悪さじゃな】

マリオ『ヤダねぇ。そんな事ないよ。』

冥「そういえば……マリオさんと悠ちゃんの出会いはどうだったですナ?」

マリオ『出会いは赤ん坊の頃からさ。私を拾ってくれたのは紅葉さんだったからね』

揺光【それは初耳じゃな】

マリオ『他愛も無い話よ』

冥「きっと、素敵な出会いだったに違いないですナ」

マリオ『およしなって』
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