ー奇談ー學校へ行こう3

ー教室ー

毎夜行われる、浮き世離れした夜の授業。
今日も取り壊されないまま、時代から取り残された廃校で授業が始まろうとしていた。

千世子「それじゃあ、昨日の続きからなのだ。」

悠「ふっぅーーーー……。」

義鷹「痛いのによく来るな」

悠「痛くないよ。寒いだけ。」

義鷹「そうか。でも、亘理や美兎の前でいわない方がいいぞ。傷口叩かれる。」

悠「そいつは怖い」

義鷹「何気に心配してるのさ」

悠「嬉し恥ずかしだ。」

千世子「東日本では二口女の正体は山姥と言われるのが多くて、西日本では、正体は「蜘蛛」であることが多いのだ。」

雨「西ね……。」

揺光【オヌシは東の生まれかえ?】

雨「えぇ、こっちよ。」

揺光【なるほど、だからガサツなんじゃな】

雨「アンタには絶対言われたくないわ。」

揺光【コンコン♪妾の気品が解らぬからガサツというのじゃよ。】

雨「なによ!」

揺光【あと、幼稚じゃ】

千世子「話しの流れは男が桶から逃げ出すまでは東日本と同じなのだ。だが、このあと、二口女は「今晩、蜘蛛になって殺しに行く」というのだ。これを聞いた男は、家に来た蜘蛛を火に投げ入れて殺すのだ。この物語から「夜蜘蛛は親に似ていても殺せ」ということわざが生まれたといわれているのだ。」

摩耶「蜘蛛が親に似てた方が気持ち悪いけどね」

花描「顔が親の顔で身体が蜘蛛」

摩耶「トラウマレベルMax」

神姫「アレっぽいわね……。名前がでてこないわ。ボーダー服ばかり着てる漫画家の……」

亘理『楳図かずお』

神姫「それだわ。」

摩耶「悠君なら全巻もってるんじゃない?」

悠「楳図先生作品なら全部あるぞ」

千世子「江戸時代に書かれた怪談集「絵本百物語」にも、二口女の物語はあるのだ。しかし、この話しの二口女は妖怪とは少し違うのだ。」

悠「読むなら貸してやるよ」

亘理『読むー。』

神姫「いらないわ。」

悠「亘理は好きだな。これ系の漫画」

亘理『水木茂も好きだ』

悠「おれも好きだわ」

亘理『も、もー好きだなんて//』
バシッ!バシッ!

悠「ぐへっ……?!」

要「左は叩いたらダメだろ……。折れてるのに」

亘理『きゃー!?悠ちゃんごめん!!』

千世子「関東地方東部の千葉県に、前妻の子供を餓死させてしまった女がいたのだ。その子供が死んでから49日目、薪割りをしていた夫の斧が、あやまって女の後頭部に当たり、ぱっくりと割れてしまうのだ。」

悠「痛っっ…」

亘理『ごめんね!ごめんね!!』

悠「だいじょび、だいじょび……。」

義鷹「顔が笑ってねぇぞ。」

悠「ふへひゃひゃ」

要「あ、色んな意味で壊れたか」

悠「誰が壊れかけのレディオだ。」

要「いっとらんがな」

千世子「不思議な事に傷は口のようなかたちになったのだ。傷は時折激しく痛んだが、傷に食べ物をいれると収まったというのだ。女の後頭部にできた「口」は、女の悪い行いに対する報いとして生まれた、いわゆる「業病」というものではないかと考えられるのだ。以上、二口女のじゅぎょーだったのだ。」
75/100ページ
スキ