ー奇談ー學校へ行こう3

ー教室ー

毎夜行われる、浮き世離れした夜の授業。
今日も取り壊されないまま、時代から取り残された廃校で授業が始まろうとしていた。

千世子「それじゃーじゅぎょーするのだ」

【二口女】
前の口?あんなの飾りです

悠「ふぅー……」

義鷹「キツイのか?」

悠「義鷹が心配してくれてるみたいだから治ったよ」

義鷹「ひゃはっ、へんな奴だ。」

悠「ふへへ、よく言われるよ。んっ…痛っっ…。」

千世子「二口女は、後頭部にもうひとつの口を持つ女性の妖怪なのだ。普段は長い髪で後頭部の口を隠してるけど、ご飯を食べるときは、髪の毛を触手のように使って食べ物を後ろの口に運ぶのだ。」

要「……長い髪で隠してるか」

摩耶「後頭部…ねぇ」

灼羅「触手……。」

悠「こっち見んな。」

千世子「二口女の伝説は「喰わず女房」「蜘蛛女房」などの題名で全国各地に伝わっているのだ。」

雨「ふふんっ。」

亘理『なんか、嬉しそう。』

雨「やっぱり自分と同種族が題材の話しだからね」

揺光【若いのぅ。大抵物の怪は最後殺されるというのに】

千世子「地方によって物語の細部は変わるけど、おおむねの話しはこうなのだ。とあるケチな男の元に「何も食べないから嫁にしてほしい」という女があらわれ、男の妻になる。」

悠「飯を食わない女に魅力なんてないのにな」

亘理『はいはーい!私ご飯大好きだよっ!』

悠「うん、知ってるよく喰ってるよな」

亘理『……それだけ?』

悠「他になにをいえと?」

千世子「しかし、女は実は二口女で、男がいない間に後頭部の口から大量のご飯を食べいたのだ。これに気づいた男は女と別れようとする……。」

揺光【やり逃げじゃな】

なのは「やり逃げ?」

神姫「ちょっと、そこの雌狐」

揺光【コンコン♪】

千世子「ここから先の物語は、東日本と西日本で大きく異なっているのだ。東日本では二口女の正体は山姥やいわゆる鬼女で、大きな桶に男をいれて山へ担いで行くのだ。なんとか桶から脱出できた男は菖蒲の畑に逃げ込み、二口女の魔の手から逃げられたというのだ。」

悠「おれは鬼の魔の手から銀の魔王に助けられたけどな」

義鷹「なんか、面白そうじゃん。今度、お前についてってみようか」

悠「そんなに心配してくれたら照れるだろ」

義鷹「手は貸さないけどな。ひゃは」

千世子「ちょうどこの日が五月五日だったので、毎年五月五日のこの日に菖蒲の葉を飾る習慣ができた、という説もあるのだ。」

フェイト「菖蒲ってどんなの?」

なのは「えーと……。」

悠「こういう花だ」

摩耶「珍しい悠君が携帯電話を携帯してる……。」

悠「アヤメ科の多年草で根茎は横に伸びる。硬く、褐色の繊維に覆われてて、葉は長さ30~50センチメートル、幅5~10ミリメートル、2列に互生し、跨状に並び、細い中央脈がある。花茎は高さ30~60センチメートルで、分枝しない。花は放射相称、径約8センチメートル、花被片は6枚、外花被片は倒卵形で垂れ下がり、基部は急に細くなって爪部となる。内花被片は楕円状倒披針形で、外花被片より小さく、直立し、基部は外花被片と合着して短い花筒をつくり……」

要「おい、語り過ぎてなんか怖いぞ…」

悠「あー……なのはとフェイトが近くに居ると癒されるわ。クンカクンカ」

ガチ…。
要「よし、今すぐ病院に送ってやる。」
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