ー奇談ー學校へ行こう3

ー教室ー

毎夜行われる、浮き世離れした夜の授業。
今日も取り壊されないまま、時代から取り残された廃校で授業が始まろうとしていた。

千世子「それじゃこの前の続きから始めるのだ。」

要「コロポックルだったよな」

千世子「そうなのだ。優しいコロポックルも怒るときはもあったのだ。」

悠「……ん?」

忌野「お?見ん顔やのォ。誰やワレぇ」

悠「小鳥遊っす。忌野さんどしました?」

忌野「エェーと何ゃったかのォ。」

義鷹「ボケてるくせにうろうろしてんじゃねぇよ。」

千世子「アイヌの男がコロポックルの美女をさらったり、コロポックルの住む土地を奪い始めたため、コロポックル達は遠い土地へと去ってしまったのだ。」

忌野「あァん?」

義鷹「ふんっ。」

悠「あの、すません。おれを挟んで睨みあうのやめてくだちぃ」

忌野「そうや。思い出した。ワシの長ドス知らんか?」

悠「また、無くしたんスか?」

忌野「ボケてるからだろ。」

千世子「北海道南部の十勝地方は、コロポックルに関連する民話からついた地名なのだ。アイヌに迫害されたコロポックルは、すんでいた土地を去るときに「トカップチ」という呪いの言葉をはっしたのだ。」

神姫「その言葉の意味は?」

千世子「水は枯れろ、魚は腐れっ!なのだ。」

摩耶「呪ってるね~。あはは」

花描「軽く笑なぁ……」

千世子「この言葉が変化して十勝になったのだ。」

冥「あ、忌野さんここに居たのナ。」

忌野「おう、小猫。どしたんや。」

冥「お茶にしませんかなのニャ」

忌野「おぉ、ほないこか」

義鷹「やれやれ、しかし、忌野がまた長ドス無くしたってのは引っ掛かるな」

雨「……」

悠「雨、なんか知ってる?」

雨「な、なんで私に聞くのよ」

悠「いや、なんとなく。」

雨「……ここにあるわよ」

悠「うっわ……蜘蛛の巣だらけ」

義鷹「何してんだこりゃ」

千世子「江戸時代に日本に来航したイギリス人の二人組は日本来航記に「蝦夷地の北にすばやくて狩りの上手な小人が住んでいる」という記録をのこしているのだ。」

雨「だって、忌野の奴、蜘蛛の巣払いのけて回ってたんだもん」

悠「まー、邪魔だしな。」

雨「私たちにとっては家なのよ!!」

義鷹「邪魔なもんはしかたない」

雨「うううぅ!!」

千世子「これは彼らが日本人について無知だったから残された記録では無いのだ。日本の記録にも、蝦夷の小人族が実在した様な記録は多いのだ。どうやら江戸時代の人々は、コロポックルは架空の存在ではなく、未確認の民族、あるいは過去に存在した先住民族として考えていたのだ。以上、コロポックルのじゅぎょーだったのだ。」

悠「とりあえず、これはおれが忌野さんに返しとくよ。」

義鷹「撃たれんなよ」

悠「怖い事いうな」

義鷹「ひゃはは」
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