ｰ教室ｰ

毎夜行われる、浮き世離れした夜の授業。
今日も取り壊されないまま、時代から取り残された廃校で授業が始まろうとしていた。

悠「王手。ちなみな次の一手で詰む」

義鷹「……」

亘理『弱っわ～。』

義鷹「うるせーよ。コイツがえげつないだけだ」

悠「そうでもない。おれも頭フル回転させてやっと勝ってるし」

義鷹「そーは、見えねぇが? 」

悠「あれれ?」

美兎「っても、酷いスコアよね。」

義鷹「ほっとけ。」

千世子「みんなーじゅぎょータイムなのだ。」

摩耶「どうぞー。」

花描「タンタンコロリンの続きだよな」

千世子「そうなのだ。けど、ちょっとそれから外れるけど、岩手県南部の遠野地方には「柿男」という妖怪に関するおかしな伝承があるのだ。」

摩耶「おかしな伝承?」

千世子「立派な柿の木のあるお屋敷。その家の召使い女のまえに、真っ赤な顔をした大男が現れるのだ。」

雨「なんだ、もう、始まってたの」

義鷹「今はじまったところだ」

雨「あ、義鷹、ちょっと忌野どーにかしてくんない?」

義鷹「俺じゃなく冥にでもいえよ。」

揺光【困りごとならここに居る、小鳥遊悠に頼むといい。こやつは之で屠羅武流死遊蛇をしている】

悠「トラブルシューターを妙な、当て字にするな。むしろおれは」

【音虎魔死愚羅】

雨「なにそれ」

悠「ねこまっしぐら」

千世子「後ろの方、うるさいのだ。」

「「【はーい、すんません】」」

千世子「それで、大男は「自分の尻を串でほじれ」というとんでもない要求をして来たのだ。召使の女がおそるおそる尻をくしでほじると、今度はそれを舐めろというのだ。舐めてみるととても甘い味がした、というオチも無い話しなのだ。」

要「感想にこまる話しだな」

悠「舐めるのも舐められるのもって話しだったら完璧猥談なんだけどな。串でほじくれこのアナル……」

神姫「……」
ガシっ!

悠「ちょ、まって、ここは二階っ……にゃーーー!!」

神姫「……」

亘理『悠ーーー!!』
ずるるる!!

摩耶「生で窓から落とされる人って見たの久々かも」

千世子「えーと……じゅぎょー続けるのだ。」

花描「何事もなかったように…」

千世子「近年タンタンコロリンは「タンコロリン」という少し短い名前で呼ばれることが多いのだ。この呼び名は短縮形でなく、本来別の妖怪の名前として使われていた名前が、タンタンコロリンと似ているせいで混同されたもののようなのだ。」

義鷹「悠が落ちてったし、雨。やるか?」

雨「いいよ。」

千世子「タンコロリンという妖怪の伝承は東北最北端、青森にあるのだ。この地方では子供を叱るとき「良い子にしないとタンコロリンが来るぞ」とおどす習慣があるというのだ。しかしタンコロリンがどんな妖怪なのかはまったく解らないのだ。以上、タンタンコロリンのじゅぎょーだったのだ」

摩耶「さて、落ちてった妖怪みたいなの回収してこないと」

神姫「井戸に突き落としてきてよ」

悠「はぁはぁ……さ、貞子より井戸の似合う男のキャッチフレーズはいらんぞ」

摩耶「復活早っっていうかもどってきた」