ー奇談ー學校へ行こう3

ー教室ー

毎夜行われる、浮き世離れした夜の授業。
今日も取り壊されないまま、時代から取り残された廃校で授業が始まろうとしていた。

悠「ちぇき。」

義鷹「おう。なんだ、今日はこっで授業とやら聞くのか?」

悠「前の方は危険だ。ここのが安全。」

義鷹「ま、好きにしろ。」

千世子「それじゃあ、昨日の続から始めるのだ。」

悠「美兎は?」

義鷹「今日は部屋で書いてるんじゃねぇか。知らん」

悠「義鷹はなんでここに来てんだ?」

義鷹「暇だからだよ。あと、あの女狐に将棋の再戦しようとな」

悠「揺光は強いぞ。やり口が恐ろしく卑怯だからな」

千世子「オシラサマのご利益を得るには、守らなくちゃいけないルールがあるところまでだったのだ。」

摩耶「誓約ってこと?」

千世子「まぁ、そうなのだ。具体的には、オシラサマは動物の肉や卵を嫌うから、お供え物に肉や卵を含めるのは厳禁なのだ。」

雨「なに、将棋するの?」

義鷹「お前までこっちにきたのか。」

雨「揺光の近くにいたくないの」

悠「お前も大変だな」

雨「あんたがちゃんとしとかないからよ」

悠「いやいや、おれに揺光をどーにか出来る訳無いだろ。」

千世子「他にも、祀り方が雑だったときも家の物を祟るというのだ。オシラサマの祟りは恐ろしくて、家の人間を病気にしたり、最悪の場合は殺してしまう事もあるのだ。」

神姫「只の疫病神ね」

摩耶「それなりにちゃんとしとけばいいってことでしょ?」

神姫「私は神様だからエライ。エライから祀れ、粗相があったら罰なんて、考えの神が腹立つわ。」

揺光【ひとあっての神、神あっての人か。そーおもわぬかのぅ?】

灼羅「わっちゃに聞くのが腹立たしい」

千世子「すでに授業した通り、オシラサマには馬の顔が彫られることがあるのだ。実は、この馬の顔には、オシラサマの起源のひとつだという悲しい物語が関係しているのだ。」

にょょ…
悠「あー?」

亘理『……』

悠「なんだ、めっさ目がしばしばしてるな」

亘理『リリなのGOD……全キャラクリした』

悠「おー……お疲れ。また、なんか持ってきてやるよ」

亘理『ありがとー…おやすみー…』

にゅにゅにゅ…
悠「なんなんだ…」

千世子「その昔、農家にすんでいた娘は、自分が飼っていた馬と大変仲が良かった。そして、なんとこの娘と馬は夫婦になってしまうのだ。」

揺光【よほど、具合が良かったんじゃな】

灼羅「やめんかい!」

千世子「当然両親はそんなこと許すはずもなく、馬を殺して木につり下げ、さらに馬の首をはねてしまったのだ。悲しんだ娘が馬の首に乗ると、馬の首と娘は空にあがり、オシラサマになったのだ。」

悠「ここに歩を打てば矢倉を崩せる…」

義鷹「ふんふん」

雨「雁木を組むにはね…」

千世子「この物語が生まれた背景には、オシラサマ信仰が盛んな青森と岩手が、馬の産地だった事が考えられるのだ。この地方で馬は非常に大事にされた家畜で馬と人が同じ屋根の下で生活していた地域もあったほどなのだ。以上、オシラサマのじゅぎょーだったのだ。」
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