ー奇談ー學校へ行こう3

ー教室ー

毎夜行われる、浮き世離れした夜の授業。
今日も取り壊されないまま、時代から取り残された廃校で授業が始まろうとしていた。

千世子「じゃー久々にじゅぎょーちゃんとするのだ」

悠「それは良いんだけど、なんで、おれ椅子に縛られてる?」

摩耶「サボるからじゃない?」

悠「っか、縛ったのは摩耶だよな?」

摩耶「僕が縛らないと抜けられるでしょ。」

神姫「二度とほどけなくていいのなら私も出来るわよ。」

悠「何で椅子に永住しなきゃいかんのだ。」

亘理『椅子男の怪!?』

悠「水木先生もびっくりだな。」

千世子「はーい、静かにしてくださいなのだ。今日はコレなのだ」

【オシラサマ】
木の棒?いいえ神様です

美兎「お、なになに、なにやってんの?」

冥「じゅぎょーなのナ」

美兎「授業~?義鷹まで?」

義鷹「ま、暇つぶしにな」

千世子「東北地方の家庭には、布を着た木の棒が祀られているところをよく見かけるのだ。これはオシラサマというご神体なのだ。岩手県の民間伝承を集めた本「遠野物語」で有名になったため、妖怪といっしょに紹介されることが多いけど、実際は今でも東北地方で祀られている民間信仰の神なのだ。」

悠「……ふーーーっ。」

亘理『キツイ?』

悠「……んっ。」
ずるるっ

亘理『!?』

悠「おーし、片腕抜けた。」

花描「気持ち悪い真似するよな」

悠「いや、鼻の頭がかゆくて」

神姫「いったら掻いてあげたのに。」

悠「カッターナイフ持ちながらいうこっちゃねーぞ、その台詞」

千世子「オシラサマは二体一組の神様なのだ。家の守り神であるほか、絹糸の原料になるカイコ、馬、目玉、子供、農業などさまざまな分野の守り神として信仰されているのだ。」

雨「なんで、私まで参加しなきゃいけないの」

揺光【糸さえ出したから、もう、用済みじゃ。出てくのならとっとと出てけ】

雨「腹立つわ……っていうか、なんでそんな偉そうなのよ」

揺光【お前とおチヨじゃとおチヨの方が可愛いからじゃな。コンコンっ♪】

雨「意味わからない!」

千世子「オシラサマのご神体は30センチほどの桑や竹の棒でできているのだ。これに男女の顔や馬と娘の顔を彫ったり書き込み、「オセンタク」と呼ばれる衣を重ね着させ、神棚や祠などに奉納するのだ。」

悠「逃げはしないから縄解いてくれないか?」

摩耶「そこまで抜けたなら残りも自力で」

悠「結構きついんよ?」

亘理『よーし、私が解いたげるよ』

千世子「基本的にオシラサマは各家庭に一組ずつ祀るけど、岩手県の遠野市にある、「御蚕神堂(おしらどう)」には、千体ものオシラサマが祀られているのだ」

雨「……」

なのは「こっち来たの?」

雨「あの狐のそばにいるとムカつくの」

フェイト「あはは……」

要「じゃあ、俺の膝に来る?」

雨「そうするわ。」

要「え、マジか」

千世子「オシラサマのご利益を得るためには、守らなければいけないルールも多いのだ。そは次回にして、今日のじゅぎょーは此処までなのだ。」
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