ー奇談ー學校へ行こう3

ー一階教室ー

毎夜行われる、浮き世離れした夜の授業。
今日も取り壊されないまま、時代から取り残された廃校で授業が始まろうとしていた。


悠「お、ちぇき」

義鷹「どーも。」

悠「じっ…」

義鷹「なんだ?」

悠「あ、いや、コーヒー飲む?」

義鷹「なに?」

悠「暇そうだからコーヒー飲むかって。」

義鷹「じゃあ、もらっとく。」

悠「缶コーヒーだけど。」

義鷹「かまわねぇよ。」

悠「そんじゃ」

義鷹「お前は、飲んでかないのか?」

悠「いいのか?」

義鷹「なにがた。」

悠「おれが居たら邪魔とかじゃないか?」

義鷹「別に何かしてるわけでもない」

悠「そっか、なら遠慮なく。」

義鷹「……」

悠「美舟ってさ」

義鷹「義鷹でいい」

悠「あー……じゃあ、義鷹って、何処住んでるんだ?」

義鷹「此処(ここ)であり夢見長屋(ゆめみながや)」

悠「ん?」

義鷹「冥に聞いてないのか?」

悠「いや、なんにも。」

義鷹「近くに夢見長屋ってオンボロアパートがある。普段はそこで寝泊まりしてる。っていうか、全員だな。亘理も死ぬ前はそこの住人だったし。冥は夢見長屋と此処の管理人だ」

悠「初耳だ。」

義鷹「そういや……最近男が一人越してきてたな。」

悠「なに妖怪?」

義鷹「人間ぽいな」

悠「ふーん……ちなみにさ、アレだったら答えなくてもいいんだけど、普段何してるんだ?」

義鷹「私立探偵。」

悠「マジで!?」

義鷹「あと、美兎は作家だ。俺は読んだことねぇけどエロ小説書いてる」

悠「更に衝撃」

義鷹「冥は管理人だから家賃収入ある。メフィストは英語教師」

悠「皆なんか働いてるんだな」

義鷹「忌野や亘理みたいに出られないのは別だけどな。そもそもアイツらは本来食うことも必要ない。」

悠「そうなのかぁ?亘理はめっさ喰うぞ?」

義鷹「それはより人間に順応してるんだろ。」

悠「なら、いつかは天井から落ちたみたいに自然と外に出られるのか?」

義鷹「それは無理だ。アイツを縛ってるのは此処だ。此処から離れることは出来ない。」

悠「うーん?」

義鷹「なにか言いたげだな。」

悠「それって地縛霊みたいな感じか?校舎に怨念が残ってるとかの」

義鷹「一度死んでからの妖怪化だから恨みとも言えなくはない。だが、そーゆーのはもっと頭から憎悪や悪意の塊で出てくる。例えば忌野が斬ったていうゴキブリとかな。」

悠「ほーむ……いや、間違えたふーむ。難しいな。」

義鷹「ひゃは、超異常現象と不思議事だ。良識、常識的に考えるだけ無駄だぜ。」

悠「そういうんじゃなくてな」

義鷹「ぁん?」

悠「亘理を出せないかを検討してるんだ。」

義鷹「さぁな。俺には出来ないが……まぁ、やってみろ。」

悠「やって見ますわ。時間かけて。」

義鷹「それより、お前の話はなんかないのか?」

悠「いやいや、おれはただの学生だし。」
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