ー奇談ー學校へ行こう3
ー教室ー
毎夜行われる、浮き世離れした夜の授業。
今日も取り壊されないまま、時代から取り残された廃校で授業が始まろうとしていた。
揺光【冥よ。ちと尋ねてよいか?】
悠「なんだ?」
揺光【妾は冥に用があるのだが?】
悠「おれは冥さんの尻尾を触りたいんだが。」
揺光【では、先に触ってよいぞ】
悠「わーい!」
さわさわ…
冥「!!」
バリッ!
悠「あー…めっさ痛いけど……満足だ」
冥「フーー!」
千世子「猫なのだ。」
摩耶「猫だね。」
揺光【さて、善いか?】
冥「何かニャ?」
揺光【妾の調べが正しければここは元マヨヒガか何かかのぅ?妾が加えた結界が徐々に吸収されておる。しかも独自結界の類だけでなく幾重にも結界が入り混じってるのはここの家神の所望としか思えんのじゃが。】
冥「それは……」
神姫「マヨヒガって?」
千世子「マヨヒガとは迷い家の事なのだ。」
【マヨヒガ(迷い家)】
悠「ちょっと前に境界の話を…」
千世子「あんちんはまだ回復しなくていいのだ」
悠「えぇ…」
花描「ほら、傷薬塗ってやるからこっちこい」
悠「ちぇ」
千世子「マヨヒガは東北、関東地方に伝わる奇談なのだ。、柳田國男が『遠野物語』で紹介したことで広く知られるところとなったのだ。」
悠「ちなみに「まよいが」とは遠野での呼称だ。」
千世子「あんちん!」
悠「お口チャックノリス」
要「好きだなそのネタ……。」
千世子「典型的な話しとしては、山奥深くに迷い込んだ者が偶然立派な門を持った屋敷にたどり着く。屋敷の庭には紅白の花が咲き乱れ、沢山のニワトリ、牛馬がおり、座敷には綺麗な食器が多数並べ出されており、火鉢の火はついたままで、囲炉裏には沸いたばかりのお湯がかけてある。しかし、人は誰ひとりおらず、呼びかけても応える者はないのだ。」
神姫「臨死体験みたいね」
千世子「迷い人は暫し休息を取った後、什器をいくつか携えて屋敷を後にしたのだ。そしてようやく山を抜けることが出来たが、再びかの迷い家を訪ねようとしても決してたどり着くことは出来なかったのだ。持ち帰った什器で米を計ると、いつまでたっても尽きることはなく、迷い人の家は里に戻ってから大層繁栄し、一躍大金持ちとなったという話しがあるのだ。」
悠「他にも「迷い人がたどり着く」「無人」「椀などの什器を持ち帰る」「訪問者の家が栄える」などの共通点を持ちながら様々なバリエーションが存在して、無欲な人が何も持ち帰らずに迷い家を後にすると、あとから川上からお椀が流れてきたりする。その椀を使って穀類を測る升(ます)とすれば穀倉は尽きることがなくなるともいうな。」
要「アレか……村落共同体における富裕層の起源説話に「隠れ里伝説」や「椀貸伝説」があるけど、それに結び付けてるのか。」
悠「そういうことだろうな。」
神姫「ふぅん。じゃあ此処は迷い人があつまる場所だったていうの?」
揺光【妾の推測も混じっておるから断定はせぬが……此処のように特殊な結界は類を見ぬからのぅ可能性としては大いにあると思う。】
冥「マヨヒガと呼ばれた事は無いのナ。」
揺光【マヨヒガでは無いか……どれ、ならもう少し調べてみようぞ。】
灼羅「善いのか?揺光は飽きるまで調べるのを止めぬぞ?」
冥「でも、止まりそうにもないのナ」
悠「あー、そりゃ無理だわ。アレを止めれるのは居ないだろ。」
毎夜行われる、浮き世離れした夜の授業。
今日も取り壊されないまま、時代から取り残された廃校で授業が始まろうとしていた。
揺光【冥よ。ちと尋ねてよいか?】
悠「なんだ?」
揺光【妾は冥に用があるのだが?】
悠「おれは冥さんの尻尾を触りたいんだが。」
揺光【では、先に触ってよいぞ】
悠「わーい!」
さわさわ…
冥「!!」
バリッ!
悠「あー…めっさ痛いけど……満足だ」
冥「フーー!」
千世子「猫なのだ。」
摩耶「猫だね。」
揺光【さて、善いか?】
冥「何かニャ?」
揺光【妾の調べが正しければここは元マヨヒガか何かかのぅ?妾が加えた結界が徐々に吸収されておる。しかも独自結界の類だけでなく幾重にも結界が入り混じってるのはここの家神の所望としか思えんのじゃが。】
冥「それは……」
神姫「マヨヒガって?」
千世子「マヨヒガとは迷い家の事なのだ。」
【マヨヒガ(迷い家)】
悠「ちょっと前に境界の話を…」
千世子「あんちんはまだ回復しなくていいのだ」
悠「えぇ…」
花描「ほら、傷薬塗ってやるからこっちこい」
悠「ちぇ」
千世子「マヨヒガは東北、関東地方に伝わる奇談なのだ。、柳田國男が『遠野物語』で紹介したことで広く知られるところとなったのだ。」
悠「ちなみに「まよいが」とは遠野での呼称だ。」
千世子「あんちん!」
悠「お口チャックノリス」
要「好きだなそのネタ……。」
千世子「典型的な話しとしては、山奥深くに迷い込んだ者が偶然立派な門を持った屋敷にたどり着く。屋敷の庭には紅白の花が咲き乱れ、沢山のニワトリ、牛馬がおり、座敷には綺麗な食器が多数並べ出されており、火鉢の火はついたままで、囲炉裏には沸いたばかりのお湯がかけてある。しかし、人は誰ひとりおらず、呼びかけても応える者はないのだ。」
神姫「臨死体験みたいね」
千世子「迷い人は暫し休息を取った後、什器をいくつか携えて屋敷を後にしたのだ。そしてようやく山を抜けることが出来たが、再びかの迷い家を訪ねようとしても決してたどり着くことは出来なかったのだ。持ち帰った什器で米を計ると、いつまでたっても尽きることはなく、迷い人の家は里に戻ってから大層繁栄し、一躍大金持ちとなったという話しがあるのだ。」
悠「他にも「迷い人がたどり着く」「無人」「椀などの什器を持ち帰る」「訪問者の家が栄える」などの共通点を持ちながら様々なバリエーションが存在して、無欲な人が何も持ち帰らずに迷い家を後にすると、あとから川上からお椀が流れてきたりする。その椀を使って穀類を測る升(ます)とすれば穀倉は尽きることがなくなるともいうな。」
要「アレか……村落共同体における富裕層の起源説話に「隠れ里伝説」や「椀貸伝説」があるけど、それに結び付けてるのか。」
悠「そういうことだろうな。」
神姫「ふぅん。じゃあ此処は迷い人があつまる場所だったていうの?」
揺光【妾の推測も混じっておるから断定はせぬが……此処のように特殊な結界は類を見ぬからのぅ可能性としては大いにあると思う。】
冥「マヨヒガと呼ばれた事は無いのナ。」
揺光【マヨヒガでは無いか……どれ、ならもう少し調べてみようぞ。】
灼羅「善いのか?揺光は飽きるまで調べるのを止めぬぞ?」
冥「でも、止まりそうにもないのナ」
悠「あー、そりゃ無理だわ。アレを止めれるのは居ないだろ。」