ー奇談ー學校へ行こう3

ー教室ー

毎夜行われる、浮き世離れした夜の授業。
今日も取り壊されないまま、時代から取り残された廃校で授業が始まろうとしていた。

悠「ちぇき。」

摩耶「やほー。」

悠「あれ、摩耶だけか」

摩耶「亘理ちゃんは隅の方に居るよ」

悠「?」

だらーん…
亘理『……』

悠「……逆さ吊りで無心に本読んでるってホラーだよな」

摩耶「妖怪だしあるべき姿なんじゃないかな?」

悠「ま、それもそっか。他のは?」

摩耶「ちょこちゃんと揺光さんと冥さんなら何か大事な話があるっていって。どっか行っちゃった。」

悠「揺光と冥はともかく千世子まで混ざってるのか?」

摩耶「うん。」

悠「変なこと教えてなきゃいいけど。」

摩耶「冥さん居るから大丈夫だよ。」

悠「揺光に二人とも喰われるパターンも考えられるな……もちろん性的な意味で。」

摩耶「そこをつまみ食いしに行くんだね。もちろん性的な意味で。」

悠「4Pとか……おっと、よだれが」

摩耶「冗談に聞こえないところが面白いよねー。」

悠「いやいや、冗談だよ。」

摩耶「ぼくの前では体裁なんてつくろわなくてもいいのに。」

悠「揺光と冥は兎も角、ぴよこはまずいだろまだ九歳だぞ。」

摩耶「そんなリアルな解答されたら僕も擁護(ようご)のしようが無いんだけど。」

悠「コホンコホン。」

摩耶「こうしてゆっくり話すの久しぶりだよね」

悠「あー?毎日顔合わしてるべ?」

摩耶「でも、悠君他の人の好感度あげるのに忙しそうだし」

悠「無い無い。」

摩耶「そうかな?」

悠「そうだよ。」

摩耶「亘理ちゃんに本買ってきたり。」

悠「あれは鳴屋からのプレゼントだよ。」

摩耶「やなり?」

悠「床下の住人」

摩耶「気配は感じてたけどやっぱりナニかいたんだ。」

悠「家がきしむ音、いわゆるラップ音なんかを引き起こすって考えられた怪異だ。日本だとポルターガイスト現象もこの怪異の仕業っていわれてる。」

千世子「出典は図画百鬼夜行・前篇陽。石燕の画に説明は無いけど、戸板を叩いたり柱をゆすったりしている子鬼が七匹ほど描かれているのだ。」「

悠「ぴよこ。」

千世子「昔は姿が無かったものの「ヤナリ」という詩はよく使っていたのだ。小泉八雲は『化け物の歌』の中でヤナリの事を「超自然的な悪心が外から揺り動かすのだ」としてるのだ。」


悠「こういった現象が起こる家には、十二~二十歳までの思春期の女の子稀に男の子も含むが居ることが多くて、近代では彼女らが抑圧された精神状態にあるとき、無意識にこういった怪異を引き起こすと考えられている。……らしい。」

摩耶「なるほどね。でも、なんでヤナリは亘理ちゃんにプレゼントしたのかな?」

悠「天井下りと床下でなんか通じるものがあったんじゃないか?」

摩耶「どっちも家妖怪ってことかな」

千世子「ここは学校だから学校妖怪なのだ。」

なるほどと妙に納得してしまいました。
ここも住人が増えてきてだいぶにぎやかになってきました。
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