ｰ廊下ｰ

毎夜行われる、浮き世離れした夜の授業。
今日も取り壊されないまま、時代から取り残された廃校で授業が始まろうとしていた。


悠「ん？」

雨「あっ。」

悠「ちぇき。雨は今から教室か？」

雨「えぇ、そうよ。そっちはひとり？」

悠「あー…そうだな。まだ誰とも会ってない。」

雨「来るのが早いんじゃない？」

悠「まぁ、暇だしな。亘理は？」

雨「まだ寝てるんじゃない？アンタがゲームなんか与えるからやりっぱなしよ。」

悠「あー……生前はゲーマーを名乗ってたらしいから与えたけど……。じゃあ、次はなんか本でも持っていってやるかな。」

雨「お好きにどうぞ」

悠「雨はなんか欲しいものあるか？」

雨「私？……なんで？」

悠「なんでといわれても……ついでというか揺光が迷惑かけたのもうやむやになったしなぁ～って思って。」

雨「それは私がアンタを吊し上げたから痛み分けでしょ？」

悠「まぁ、それはそうだけど。あの時おれをどうこうしようとしてした訳じゃないんだろ？」

雨「勘違いだったわ」

悠「なら、仕方ない訳だし。揺光がやり返す事もなかったんじゃないかと思ったりする。まあ、揺光は揺光でおれの為にやってくれたわけだし無下にする訳にゃぁいかんけど」

雨「めんどくさくてどっち着かずっていわれない？」

悠「身に覚えはないのに天邪鬼とかはいわれる」

雨「的を捉えてるわよ。」

悠「え～…」

雨「アンタは人間だけど……いや、人間だから珍妙な考え方をするのかしら……？」

悠「なんでもいいけど欲しいものないのなら今度一緒に出掛けてみないか？都心にまでは出歩かないだろ。」

雨「私にいってるの？」

悠「おれに見えない誰かが居ないなら雨にいってるつもりなんだが？」

雨「私と出掛けたいの？」

悠「なんか聞かれてばっかりだな。無理にとはいわないさ、暇ならって意味でな。ほら、雨なら亘理の欲しいものとかも解るだろ？」

雨「へぇ…」

悠「なんだ？」

雨「優しいんだね。」

悠「今ごろ気づいたのか？」

雨「……」

悠「ちょ、無視して行くなよ～」


ｰ教室ｰ


千世子「あっ！あんちんきたのだ！」

悠「おーう。」

亘理『よーうす』

悠「おーう」

冥「いらっしゃいなのナ」

悠「おーう……って、妖怪率高っ…。ぴよこに変なもの食べさせたりしてないだろうな？」

千世子「千世子をなんだと思ってるのだ！！」

亘理『ついでに私らをなんだと思ってる！』

悠「上と下から叫ばんでくれ……高低差ありすぎて耳キーンなるわ。」

千世子「人真似つまんないのだ」

悠「お前はもうダッコしてやらん」

千世子「えー！？」

亘理『こら！チヨちゃんいじめんなー！ついでに私もダッコしろ！』

悠「お前はまず天井から降りてこい。パンツ見えんぞ」

亘理『変態！』

悠「注意してやってるだけだろ。」

冥「みんな仲良くするニャ」