ｰ教室ｰ

毎夜行われる、浮き世離れした夜の授業。
今日も取り壊されないまま、時代から取り残された廃校で授業が始まろうとしていた。


亘理『みんなまだ来ないなぁ』

雨「まだ来ないでしょ。普段のまだ一時間前よ」

亘理『そうなんだけどさぁ。みんなが居る方が楽しいじゃん』

?「そんなに楽しいのナ?」

亘理『私を見て逃げなかったんだよ。しかも、天井から解放してくれたし』

雨「それは皆ではなく悠じゃない」

亘理『え、あ、まぁ、それはそれでね……。』

?「昔みたいなのニャ?」

雨「昔か……ま、私はどっちかといったら新参者側だけど」

亘理『そうなんだ。』

雨「此処に居ついてるなら……冥でしょ。ねぇ、冥」

冥「まぁーそうなのナ」

亘理『そーいえば、冥ちゃんは何で参加しないの?っていうか、なんで逃げてるの?』

冥「いや、猫の習性で追われると逃げちゃって……」

雨「気持ちは分かるわ。」

亘理『悠は猫好きっていってたからきっと冥ちゃんも撫でくりまわされるよ。』

冥「それは喜んでいいのかにゃ?」

雨「さぁね。亘理は悠にご執心だし」

亘理『えへぇへへ///』

雨「顔だらしな」

亘理『ハッ…!?』

雨「けど、悠を中心に変わってるのばっかり集まっているから冥だって気兼ねする必要無いんじゃない?」

冥「ナー……なんか、最初逃げちゃったから少し気まずいにゃ」

亘理『だいぢょうぶ。悠はそんなこと気にしない。摩耶君がいってたよ。「悠くんは普段、あの見た目と言動で第一印象最悪だからよく人に避けられるんだよ」って!』

雨「第一印象で嫌われたら大抵修復きついわよね。」

冥「しかも、それと私の話しはあんまり関係ないにゃ」

亘理『あれ?』

雨「でも、そーゆーの抜きにしてもあってみるのはどう?」

冥「うーん……。」

亘理『冥ちゃんの場合、普通に問題なく溶け込……』

千世子「千世子がいっち番なのだ!」

悠「おれとお前しか居ないのに先頭切って歩いてたらどう考えてもそうなるだろ」

千世子「あんちんは時々すごくつまらないのだ。」

悠「なんだと。この動くエンタティナーのおれにつまらないとか……あっ!」

冥「ニーハオなのにゃ」

千世子「にーはおなのだ!」

悠「ネコマタだ。お母さん、目のまえにネコマタがいます。都会には魔物が住んでるっていうのは本当らしいです」

亘理『なにおかしなこといってるの』

悠「ああ、すまん、すまん。それで、彼女は?」

亘理『受け入れ速っ…』

雨「本人に聞きなさいよ。」

悠「じゃあ、ネコマタちゃん。おれは小鳥遊悠っていうんだけど。」

冥「知ってるのナ。私は円造寺冥(えんぞうじめい)ニャ。」

彼女の髪をかきあげて本来人の耳がついている場所がどうなっているのか知りたかったのですが、怖いのでやめました。ただ、着物の下から見え隠れする七～八本の尻尾が気になったので聞いてみました。

悠「冥ちゃんか。凄いっすね。尻尾」

冥「私は主の敵を討つためにネコマタになったのナ。」

雨「けど、退治されて「七代祟る」って言い残して死んで、みごと相手方を滅ぼしてやったのよね。本懐を遂げて復讐心もなくなったから、子猫の躰に宿って今に至るのよ」

悠「なるほど。名誉の七本尻尾ですな。ご立派です。」

冥「ナーーゴロゴロ。ありがとなのニャ//」