ｰ教室ｰ

毎夜行われる、浮き世離れした夜の授業。
今日も取り壊されないまま、時代から取り残された廃校で授業が始まろうとしていた。

雨「繋がってるよ地獄と」

悠「どーいう事だ？」

雨「どーいうことって言われてもあの井戸は地獄と繋がってるの。落ちたら危ないから覗き込まない方が身のためよ。」

悠「わかった。(けど、いつか覗く気がします )」

要「地獄かあるんだな」

花描「しかし今までそんな気配感じ無かったぞ。」

雨「普段は蓋してあるからね。嘉鷹(よしたか)がたまに釣りしてたけど。」

悠「お前さぁ……時々知らないやつの名前出すけど、それってここの住人か？」

雨「住人……住人といえば住人かしら。嘉鷹はすぐにどっか行くし…忌野(いみの)は出たり入ったりだし……住人っていうなら私と亘理、それにメフィストと冥かな。」

花描「なんか、いま多かったぞ」

悠「そいつ等ってトイレの花子さん的な学校妖怪か？」

雨「何を指して学校妖怪の基準なのかは知らないけど違うと思うわ。」

悠「節操がないのか妖怪には……」

雨「節操がないのは人間も同じでしょうが」

揺光【めんどくさい。全員連れてこい。】

雨「嫌、っていうか、無理よ。みんながみんな自由にやってるのに」

要「揺光こそ探知的な事はできないのか？」

揺光【妾は傍観中じゃ。口は挟んでも手助けはせん。】

摩耶「傍観？」

神姫「相手にしない方がいいわ。嘘つきだもの」

揺光【誰のことじゃ？】

神姫「……」

揺光【おぉ、怖や。怖や。悠よ、竜の娘が睨むのじゃよ】

悠「……」

揺光【悠？】

悠「……」

揺光【悠？悠よ？なぜ無視をするのじゃ？もしかして片羽ノ芦のことを怒ってるのかえ？あれは……だな】

悠「え、あ、なに？ごめん、聞いてなかった。」

揺光【……妾を焦らすとはやってくれるでは無いか。】

悠「あー？なんの話だ。」

摩耶「なに考えてたの？」

悠「いや、ファミマのミククジが無くなる前に買いにいかないとと考えてた」

摩耶「悠くんにとってはそれがいまの最重要項目なんだね。」

揺光【久々に素手で誰かを殴りたくなったわい】

悠「いったい何に対して揺光はキレてるんだ？」

神姫「悠、よくやったわ。ミククジ買ったげるわ。」

悠「え、なに？本当になんの話？」

摩耶「えと、小籠包？」

悠「ああ、中華料理の話しか。」

神姫「いっさいしてなかったわね」

揺光【微妙に腹立つから、雨、ちょっと、面貸せ。】

雨「絶対に嫌だ！」

揺光【軽く炙るだけじゃ】

雨「軽くで済むか！！重傷になるわよ！」

揺光【じゃあもう殴らせろ。】

雨「嫌！！」