ー奇談ー學校へ行こう3

ー教室ー

毎夜行われる、浮き世離れした夜の授業。
今日も取り壊されないまま、時代から取り残された廃校で授業が始まろうとしていた。

神姫「聞いていいかしら。」

揺光【お、珍しい。竜の娘から妾に話かけてくるとは。なんじゃ?】

神姫「貴女はどれだけの力を持ってるの?」

揺光【見てのとおり、九尾分じゃな】

神姫「意味が解らないのだけど、もう少し解りやすく説明してもらえる?」

揺光【コンコン♪この尾はの一本、一本が妾と同等の霊力が込もっていて、対敵用の武器でもあるのじゃ。】

神姫「外付けバッテリーみたいなものなのね……武器っていうのは?」

揺光【一尾は対鬼、二尾は龍、三尾は神、四尾は獣、五尾は悪魔、六尾は亜人、七尾は精霊、八尾は蟲。各々に特化した術式や武器を収納しておる。時々どれがどの尾か解らんようになってしまうがの。コンコン♪】

神姫「九尾は?」

揺光【そこは完全に倉庫じゃな。妾の所有する宝具がザクザクじゃぞ~。】

神姫「全くもって無茶苦茶ね。」

揺光【コンコン♪不思議があるから妾がある。妾が無ければ不思議もないのじゃよ】

神姫「ちなみに死ぬの?」

揺光【うむ。妾とて殺されれば死ぬ。不死の術も幾つか考えたが、興味がなくての。それに妾は長生きじゃからな。】

神姫「そう。」

揺光【満足したかえ?】

神姫「まぁね。」

揺光【いつでも聞いてたもう。妾は噺好きなのでな】

神姫「へぇ、意外だわ。」
揺光【うぬ?】

神姫「話し好きってとこ。」

揺光【おや?そんなに妾は堅物に見ゆるかえ?】

神姫「全然。ただ、昔のことは詮索されたくないタイプには思っていたわ。」

揺光【妾の過去は膨大ゆえ詮索も何もないしのう。むしろ忘れてしもうたことのが多いわ。コンコン♪】
神姫「そういう風に煙に巻いてるのね。」

揺光【煙に巻くのは嘘つきの誤魔化し。妾は摘む側じゃよ。】

神姫「摘む?」

揺光【よく言うじゃろ?狐に摘ままれたとな。】

神姫「笑えないわね。」

悠「お、なんだ?なんの話ししてる?」

揺光【笑い話しじゃ。】

神姫「笑えない話しよ。」

悠「黒と白みたいな会話になってるぞ」

揺光【摘ままれたかえ?】

悠「摘む?……乳首を?」
神姫「……」
ドゴッ!

悠「うぐっぉ……。」

神姫「蚊が居たわよ。」

悠「ボディブロー……は…蚊にはオーヴァーキル過ぎやしませんか?」

神姫「都心の蚊は超進蚊(ちょうしんか)タイプだしね。ただの一撃じゃ物足りないでしょ。」

悠「それは殺虫剤に対する抵抗の話で……潰れたら死ぬっーの。」

揺光【コンコン♪仲善きかな】

悠「どこがだよ!?」

神姫「共通言語が無いんでしょ。それの相手は任せるわ。」

悠「おい。」

揺光【コンコン♪そうじゃ忘れておった。悠、これを渡しておく。】

悠「あー?……刀ってこれ梔姉さんの佩刀じゃないか」

揺光【つい先日に借りた物なんじゃが返しといてくれるかのぅ。】

悠「借りたって……え?」

揺光【コンコン♪】
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