ー奇談ー學校へ行こう3

ー教室ー

毎夜行われる、浮き世離れした夜の授業。
今日も取り壊されないまま、時代から取り残された廃校で授業がはじまろうとしていた。

蜘蛛少女「ガツガツガツ」

素っ裸の少女姿になった蜘蛛におれは甚平の上着を貸してやった。
そして、今は堰を切ったような勢いで口の中に物を詰め込む少女。よっぽど腹が減っていたらしい。手持ちの菓子だけでは足りないと思うが適当なタイミングでおれは聞いた。

悠「それで……少しは落ち着いたか?」

蜘蛛少女「むっ、あぁ。大分マシになったわ。」

悠「そりゃ良かった」

神姫「何で餓死寸前だったの?てゆーか、妖怪が餓死で死ぬの?」

蜘蛛少女「人間が餓死で死なないの?」

神姫「……」

悠「静かに拳を握るなよ。」

神姫「そうね。キンチョールでないと、手が汚れたらイヤだし」

悠「止めたれって。」

蜘蛛少女「餓死しかけたのはそこの狐のせいよ。私から妖力を奪って変化が解けた。それで、瓶詰めにした。そうしたら……そのまま三日よ!三日!!何かの拷問かとも思ったわ!!!自力で回復しようとしても妙な式を施してあるのか全然戻らないし。私はもうこのまま殺されると覚悟してたら、急に出されるはで……どーいう意図なのよ。」

悠「揺光……。まさかお前捕獲して忘れてたんじゃないよな?」

揺光【……】

灼羅「図星のようじゃ」

蜘蛛少女「……」

悠「なんか、すまんね。」

蜘蛛少女「もう怒りも通り越して唖然よ。」

揺光【違うぞ。妾はアレじゃ以前、悠を襲った意思返しをのぅ】

悠「とって着けたような言い訳するなよ」

蜘蛛少女「襲った?あぁ、間違えて捕まえちゃった人間か」

花描「なにと間違えたんだ」

蜘蛛少女「忌野」

悠「はい?」

蜘蛛少女「あのジジイがうろちょろしてたのかと思ったけど人違いだった。」

悠「え、じゃあ、なにか?人違いでおれは吊るし上げられたのか?」

蜘蛛少女「そう。」

悠「でも、あそこ封鎖されてたじゃん」

蜘蛛少女「あそこは私の場所だからね。入られないようにしてたの。」

悠「出入りは?」

蜘蛛少女「元の姿になれば隙間なんかいくらでもあるし」

悠「……」

蜘蛛少女「けど、あのとき謝ろうと思ったのよ。なのに狐が急に仕掛け来たから退散するほか無かったのよ」

悠「そうか。些細で大きな行き違いがあったみたいだな」

蜘蛛少女「行き違いで殺されかけたらたまらないんだけと。」

揺光【こうして頭を下げて謝っておるだろ。許さんか】

蜘蛛少女「いつ頭を下げたのよ!!」

悠「えと、なんかごめんな」

揺光【謝らんでよいぞ。コンコンコンッ♪】

悠「揺光、話しがややこしくなるから黙っててくれ。えーと、名前とかある?」

蜘蛛少女「私か?」

悠「ああ。君」

揺光【考えたらわかろうが】

悠「揺光……」

雨「椋野雨(むくのさめ)よ」

摩耶「鮫?」

雨「さーめ!雨と書いてさめよ。」

花描「蜘蛛にしては人間ぽい名字だな」

雨「ああ、昔知り合った人間の名前だ。拝借している。」

悠「……喰ったのか?」

雨「食べて無いわよ!!」
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