ー奇談ー學校へ行こう3

ー教室(7/26/夜)ー

毎夜行われる、浮き世離れした夜の授業。
今日も取り壊されないまま、時代から取り残された廃校で授業がはじまろうとしていた。

悠「ちぇきっす」

亘理『ばあぁー。』

教室に入るなり目のまえに逆さ吊りで垂れ下がってくる亘理。

悠「なんで天井にぶら下がってる」

亘理『なんか……癖?』

帰省本能という奴でしょうか、妖怪はまだまだ知らないことがいっぱいです。

なのは「でも、亘理さん凄いことできるようになったんですよ」

悠「凄いこと?」

亘理『ふっふっふ、3、2、1……はいっ!』

指折りカウントを終えると同時に天井下(ver2)は天井に沈んでいき、床からにゅるるっと生えてきた。そして一歩踏み出すと、床下に落ちていくように沈んで、今度は黒板から飛び出て来た。ある意味ド派手な手品。

悠「どーゆーこと?」

花描「彼女壁っていうか天井から繋がってる場所なら通り抜けれるらしいぞ」

悠「そういえば天井から天井には移動できるっていってたな。それがレベルアップしたのか……天井から繋がってるって校舎内ならどこでもじゃん。」

要「無コスト、無モーション、テレポートと同じだからな」

悠「ほむ……間違えた。ふむ。おーい、亘理」

亘理『なに?』

悠「それって部位だけ移動させることもできるのか?」

亘理『V……サイン?』

悠「ちゃうわ。例えば床に腕を突き立てたら、腕だけ壁から出せるとか」

亘理『あ、それ無理。壁一枚、床一枚くらいなら大丈夫だけど離れた所はできないよ。私の腕伸びないし』

悠「なるほど……言われてみたら天井から床への移動も、床から天井への移動も全身が沈み切ってからだったな。じゃあ、机とかからでて来るのも無理なのか?」

亘理『できないね。』

悠「ちなみに窓からは?」

亘理『できるよ』

悠「なるほど。」

亘理『あ、けど……』

亘理は窓を開けて外に手を伸ばそうとした。
だが、まだガラスがあるかのように彼女の手は遮られた。手を拳にして遮られた場所に当てるとコンコンと硬質な音がしている。

要「もしかして出られないのか」

なんでだっと聞こうかと思いましたが、この世はまったく謎だらけ、聞いても解らないだろうと思って聞くのは止めました。

亘理『くうううぅ~もう一回!!』

フェイト「窓から飛び降りようとしたら危ないですよ!!」

亘理『てりゃあ!!』
ガイン!!

なのは「跳ね返ったの……。」

亘理『うぅぅ~』

悠「……揺光さん、亘理をなんとかしてやってくれませんかね」

揺光【外に出せというなら妾には無理じゃぞ】

悠「意地悪ゆうなよ」

灼羅「意地悪では無いのじゃ」

悠「っていうと?」

揺光【悠も知っての通り、亘理は殺されてこの世に無くなるハズだった存在じゃ。それをこの『学校』が妖として生かした。『学校』とい名の『学校妖怪』のやっていることを妾はどうこう出来んよ。】

悠「って、ことは天井から落ちたみたいに「自然に外に出られるかもしれん」ってことか」

天空音「そーうじゃないです」

悠「え?」

揺光【天井で死んだから『天井下』という姿で現れた、この意味が解るかえ?】

悠「だいたい。妖怪化するにあたってその場所に適応した姿・形になった……だとしたら、自然に落ちたんじゃないんだったら何で落ちてきたんだ」

揺光【悠に適応したんじゃなかろうかの】

悠「うそぉ」

灼羅「いずれにしても「縛る物が無くなったから自由になった」そんなかんじじゃ。」

悠「恨みごと聞いてやったからおどかす必要が無くなったからかな…」

天空音「なんにしても思い当たる節があるなら悠さんの責任です♪悠さんがちゃんと面倒みるですよ」

悠「おれの責任かぁ」
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