ー奇談ー學校へ行こう3
ー教室(7/24/夜)ー
毎夜行われる、浮き世離れした夜の授業。
今日も取り壊されないまま、時代から取り残された廃校で授業がはじまろうとしていた。
千世子「じゃあーじゅぎょーするのだー」
「「【『はーい(じゃ、です)』】」」
千世子「石燕は言葉遊びや連想で次々と妖怪を想像していったのだ。妖怪研究家の村上健司によれば、石燕が描いた妖怪200体以上のうち、三割ほどが石燕オリジナルの妖怪だとされているのだ。そのなかには家に関する妖怪が大変多いのだ。」
亘理『……』
悠「どかしたか?」
亘理『あ、ううん、なんでもない。』
千世子「例えば明かりに関する妖怪なのだ。行燈の油を舐めるろくろ首なんかが有名だけど、石燕はそれ以外にも、老婆の姿で明かりを吹き消す「火消婆」という妖怪を描いてるのだ。」
フェイト「火消婆……なんか、想像できないです」
揺光【妾らは燃やす方が得意じゃな】
灼羅「妾「ら」というな、わっちゃまで放火魔と思われるじゃろ」
揺光【こんこんこんっ♪放火魔とは失礼な。妾が焼くのは恋の焔だけじゃわ】
悠「みたか、フェイト……今、火消婆が居たから大火事にならなかったんだよ」
揺光【こっくり、コックリ、弧狗裡~~さん。】
クイッ…
ズデンッッ!
悠「ガハッ?!!!」
揺光【妾を辱めるとは酷い奴じゃ】
悠「ひ、酷いのはお前だ!!」
千世子「他にも倉からお金が出ていってしまう現象「金霊(かねたま)」、機織で作られた布が蛇の妖怪に変化する「織尋」、障子に無数の目が浮かぶ「目目連(もくもくれん)」も、すべて石燕オリジナル妖怪達なのだ。」
亘理『……』
悠「痛っっ……お前、本当にどした?」
亘理『うーん……もうちょっと待って』
千世子「もちろん石燕発祥でないものもいるのだ。例えば「逆柱」は、家の柱を本来の向きとは上下逆に使ってはならない禁忌を意味していたのだが、石燕によって妖怪のイラストとして描かれることになったのだ。トイレに現れる妖怪がんばり入道もイラスト化されているのだ。」
なのは「妖怪は障子とか倉とかからでてくるものなの?」
千世子「確かにここまでじゅぎょーして来た天井やトイレ、そして押し入れやふすま、障子などに現れることが多いのだ。なぜかというと、今あげたような場所は、家の中でも異世界に繋がっている場所、民族用語学でいうところの「異界」だと考えられているからなのだ。」
フェイト「異界?」
悠「昔から現世から他界への通路とされている空間があるんだ。天井、井戸、橋、川、三叉路、四ツ辻、風呂場、トイレ、押入れ……これらの共通点はなんだ?」
なのは「?」
フェイト「?」
悠「答えは二つの空間を区切る、または連結するものってこと。霊なんかが集まりやすい場所とされてる。」
花描「どっかのスキマ妖怪もスキマのヌシだしな。」
悠「だから、家の仕切りである天井裏は、死体の隠し場所、女の監禁された場所であって、井戸は地中をとおって海上の他界に通じていると考えられ、先祖霊や無縁仏が帰ってくる場所とされてたりするんだ。」
千世子「むー、結局悠のあんちんが締めたのだ!これで天井下と天井嘗のじゅぎょーはおわりなのだ」
神姫「どう、少しは自分がどういう妖怪なのか分かったの?」
亘理『うーん……天井下がさ、石燕っいうのの創ったオリジナル妖怪なら私はなんなのかな?』
要「それは……」
悠「お前は沼沢亘理だろ?どんな俗称があっても無くても、結局お前はお前だろ」
亘理『あ、そっか……そーだよね!悠、いいこというぢゃ……』
ズリリリリっ……ポテっ!!
「「「!?」」」
亘理『あっうぅ~……』
悠「パンツは黒……じゃなくて天井から落ちた?」
毎夜行われる、浮き世離れした夜の授業。
今日も取り壊されないまま、時代から取り残された廃校で授業がはじまろうとしていた。
千世子「じゃあーじゅぎょーするのだー」
「「【『はーい(じゃ、です)』】」」
千世子「石燕は言葉遊びや連想で次々と妖怪を想像していったのだ。妖怪研究家の村上健司によれば、石燕が描いた妖怪200体以上のうち、三割ほどが石燕オリジナルの妖怪だとされているのだ。そのなかには家に関する妖怪が大変多いのだ。」
亘理『……』
悠「どかしたか?」
亘理『あ、ううん、なんでもない。』
千世子「例えば明かりに関する妖怪なのだ。行燈の油を舐めるろくろ首なんかが有名だけど、石燕はそれ以外にも、老婆の姿で明かりを吹き消す「火消婆」という妖怪を描いてるのだ。」
フェイト「火消婆……なんか、想像できないです」
揺光【妾らは燃やす方が得意じゃな】
灼羅「妾「ら」というな、わっちゃまで放火魔と思われるじゃろ」
揺光【こんこんこんっ♪放火魔とは失礼な。妾が焼くのは恋の焔だけじゃわ】
悠「みたか、フェイト……今、火消婆が居たから大火事にならなかったんだよ」
揺光【こっくり、コックリ、弧狗裡~~さん。】
クイッ…
ズデンッッ!
悠「ガハッ?!!!」
揺光【妾を辱めるとは酷い奴じゃ】
悠「ひ、酷いのはお前だ!!」
千世子「他にも倉からお金が出ていってしまう現象「金霊(かねたま)」、機織で作られた布が蛇の妖怪に変化する「織尋」、障子に無数の目が浮かぶ「目目連(もくもくれん)」も、すべて石燕オリジナル妖怪達なのだ。」
亘理『……』
悠「痛っっ……お前、本当にどした?」
亘理『うーん……もうちょっと待って』
千世子「もちろん石燕発祥でないものもいるのだ。例えば「逆柱」は、家の柱を本来の向きとは上下逆に使ってはならない禁忌を意味していたのだが、石燕によって妖怪のイラストとして描かれることになったのだ。トイレに現れる妖怪がんばり入道もイラスト化されているのだ。」
なのは「妖怪は障子とか倉とかからでてくるものなの?」
千世子「確かにここまでじゅぎょーして来た天井やトイレ、そして押し入れやふすま、障子などに現れることが多いのだ。なぜかというと、今あげたような場所は、家の中でも異世界に繋がっている場所、民族用語学でいうところの「異界」だと考えられているからなのだ。」
フェイト「異界?」
悠「昔から現世から他界への通路とされている空間があるんだ。天井、井戸、橋、川、三叉路、四ツ辻、風呂場、トイレ、押入れ……これらの共通点はなんだ?」
なのは「?」
フェイト「?」
悠「答えは二つの空間を区切る、または連結するものってこと。霊なんかが集まりやすい場所とされてる。」
花描「どっかのスキマ妖怪もスキマのヌシだしな。」
悠「だから、家の仕切りである天井裏は、死体の隠し場所、女の監禁された場所であって、井戸は地中をとおって海上の他界に通じていると考えられ、先祖霊や無縁仏が帰ってくる場所とされてたりするんだ。」
千世子「むー、結局悠のあんちんが締めたのだ!これで天井下と天井嘗のじゅぎょーはおわりなのだ」
神姫「どう、少しは自分がどういう妖怪なのか分かったの?」
亘理『うーん……天井下がさ、石燕っいうのの創ったオリジナル妖怪なら私はなんなのかな?』
要「それは……」
悠「お前は沼沢亘理だろ?どんな俗称があっても無くても、結局お前はお前だろ」
亘理『あ、そっか……そーだよね!悠、いいこというぢゃ……』
ズリリリリっ……ポテっ!!
「「「!?」」」
亘理『あっうぅ~……』
悠「パンツは黒……じゃなくて天井から落ちた?」