ー奇談ー學校へ行こう3

ー教室(7/19/夜)ー

毎夜行われる、浮き世離れした夜の授業。
今日も取り壊されないまま、時代から取り残された廃校で授業がはじまろうとしていた。

なのは「そういえば、わたりちゃんて天井下なの?」

亘理『そうらしいね。ね?』

悠「いや、おれに確かめられても……なぁ?」

揺光【zzz…zzz…】

悠「また、爆睡かよ」

フェイト「そもそも……天井下ってなに?」

亘理『え……妖怪だよね?ね?』

悠「だから、おれに確かめを求めるなっーの。」

目の前でゆらゆら揺れるポニテを引っ張ってやった。キャンッと短い悲鳴をあげて亘理は睨んできたので、知らぬ顔をしてやった。

亘理『てりゃ!』

悠「いたいっ!?」

横を向いていたら後頭部に衝撃が走った。摩耶の筆箱が足元に転がる。まさか、ぶつけられた?摩耶に?

摩耶「あれ?」

亘理『ポルターガイストだぁー』

ずるりっと身体を出して得意顔でケタケタ笑う天井下。

悠「灼羅たん。この妖怪軽く炙ってくれない?」

灼羅「いやじゃ」

悠「ちぇ。」

天空音「悠さんカッコ悪すぎですねっ♪」

悠「そんな笑顔で酷いなぁ」

要「なんで嬉しそうなんだ」

花描「Mだからだろ」

悠「ノーマルだっーの!!」

千世子「じゃあ、明日は天井下のじゅぎょーするのだ。わたりちゃんもちゃんとじゅぎょー受けるのだ!」

亘理『はーい』

悠「乗り気だな…」

亘理『ずっとひとりだったからすごく楽しい』

そういった亘理の笑顔。本当に楽しいのだろうけど、おれには、なんだか酷く痛々しく思った。殺されて吊るされて妖怪化してずっとひとりぼっち……。

揺光【変に気負うと柵が増えるぞえ?】

いつのまに起きたのか妖怪代表様がおれの頬に指を突き立ててくる。

悠「あー?」

揺光【人間とも距離を空け、妖とも距離を空け、どっち撞かずの臆病者が今さら此方に肩入れしても何も得は無いと助言じゃよ】

悠「そらどーも。けど、おれは自分の事でいっぱいいっぱいなの。人間とか妖怪とか他の事なんか知りませんよ。」

揺光【コンコンコン♪左様か左様か。なら妾の杞憂じゃったのぉ。コンコンコン♪】

狐笑いが耳障りなのでおれは席を立ったどうせもう解散時間だし。だが、帰ろうとしたら、それに気がついたのか、亘理に捕まった。逆羽交い締めという奇妙な事を経験したのは後にも先にもおれだけだろう……。お母さん、世の中は不思議でいっぱいです。

灼羅「……どう思うのじゃ?」

揺光【亘理の胸はかなりあるのう。】

灼羅「違う!!」

揺光【情緒不安定。自己中心的でお人好し避け癖逃げ癖あり……人間らしいといえば人間らしいが、捕らえ処の無い鵺的人物じゃな。あとは嘘が下手で巧い。】

灼羅「見たマンマじゃな」

揺光【コンコン♪灼羅が此れほどひとりの人間に興味を持つとはのぅ。】

灼羅「な゛何、変な解釈しとるのじゃ!わっちゃはただ自分を語れないただの世渡りベタに、もっと付き合いのよい奴にしてやれんかと……。」

揺光【コンコン♪】
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