ー奇談ー學校へ行こう

ー廃校前ー

夜風が冷たく舞う都心の裏側。
目のまえには老朽化が進み切った、木造建ての校舎らしき建物が見える。

悠「ここが噂の廃校ねぇ…」

摩耶「雰囲気は出てるね。どうしようか入ってみる?」

悠「入るもなにも…」

校門の鉄格子は「立ち入り禁止」と書かれた看板が下がっている。
鍵は掛かっていないが、開こうとしても塗装がはげて錆だらけの格子は口を固く閉じている。

悠「ガチガチだぞこれ。何年も開けてない証拠だ」

摩耶「みたいだね。人の気配もしないし…」

悠「っか、寒い…」

摩耶「帰る?」

悠「そだな。ん?」

摩耶「どうかした。」

悠「いや、今そこの窓に…」

廊下の窓に光がユラユラとさ迷っているのが見えた。
人魂とか鬼火の類いでは無いがなにか光が動いたのは確かだった。

悠「……一応ここまで来たしなか見とくか。」

摩耶「エクソシスト小鳥遊、今晩復活だねぇ」

悠「エクソシストはやめい。霊幻導師と呼べ。」

摩耶「キョンシーは出てこないと思うよ。」

悠「キョンシーなら、ち~か~よ~る~な~って言ってくれるぞ」

摩耶「なんの話?」

悠「気にするな。それより、この門どうするかな…よじ登るか」

摩耶「すっ……破っ!」

固く口を閉ざしていた格子は摩耶の中段崩拳の一撃でベギリっとひしゃげた。

ギリギリ人が通れるくらいのスペースができてる。


摩耶「じゃ、入ろうか。悠くん、幽霊がでたら守ってね」

悠「むしろ、摩耶が俺を守ってくれ……」

摩耶「あはは、冗談ばっかり~」

悠「……(いや、マジでだよ)」






ー廃校(内部)ー

木戸は打ち付けられて開閉が出来ない状態になっていた。

だが、摩耶が開け(破壊し)た。

摩耶「真っ暗で埃っぽいね」

悠「こりゃ相当古いな床も木張りだぞ」

摩耶「転けたら危ないし、怖いから手繋ごうか」

悠「お前のその可愛らしさが怖いわ…ん?」

そばの教室からガサガサと音がしている。
何かがいるみたいだ。

摩耶「どうしようか?」

悠「摩耶は向こうの入り口から頼む。俺はこっちからいくから。」

摩耶「うん。わかった。向かってきたら殺るつもりでいいよね?」

悠「病院送り程度にしときなさい。」

摩耶「はーい。」

二手に別れて同時に教室のドアを開けた。
それと同時に悲鳴が聞こえた。

「き、キャアアァー!!」

悠「うわっ!?」
摩耶「!?……って、子供?」

教室にかかった黒板の前で化け物にでもあったような表情をした子供がいる。

悠「マジに幽霊か!」

「ゆ、幽霊!?」

摩耶「いや、君のことね?」

「わ、私幽霊ちゃうもん!人間やもん!そっちこそ誰よ!」

悠「えーと、通りすがりの学生です」

摩耶「通りすがりの大学生だよ」

「あ……学生!!」
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