ー奇談ー學校へ行こう2

ー教室(7/7/夜)ー

毎夜行われる、浮き世離れした夜の授業。
今日も取り壊されないまま、時代から取り残された廃校で授業がはじまろうとしていた。

悠「……はぁ」

神姫「……」

ポン
悠「っ!?」

神姫「龍剄と鬼状態を同時に使ったって本当だったのね」

悠「っ…はぁ…」

神姫「帰りなさい。死ぬわよ。」

悠「マジトーンでいうなよ」

神姫「ほら、準備して」

悠「あー?」

神姫「帰るわよ。」

悠「いやいや、今来たところだろ。」

神姫「来たところでそんなに弱ってるじゃない」

悠「……もしかして心配してくれてるのか?」

神姫「翠龍の毒による痛みはよく知ってる。私でも使えば丸一日は動けなくなる。それに加えて鬼状態なんか使えばどんなことになるかわかったもんじゃない。早く、医者に行くわよ。」

悠「大丈夫、大丈夫だから。」

神姫「……どうなっても知らないわよ。」

悠「自分の身体のことは自分が一番わかるさ。っか、なに、そろそろおれも友達関係になれちゃった感じ?」

神姫「下僕がいないと不便なのよ。それと、調子に乗るなら龍剄(落と)すわよ。」

悠「お口チャックノリス」

ゆうな「やっぱりお母さん?」

神姫「いつから居たのかしらないけど、適当いうなら私は普通に手を出すわよ」

悠「おいおい、やめたれよ」

ゆうな「お母さん、スパルタ」

神姫「……」

パァン!

ゆうな「……」

悠「い、痛~……って、おれぇ!?」

摩耶「なに、いまの音?」

悠「打たれた音だ。」

花描「またなんか余計なことしたんだな。」

悠「あれ、おれが悪いの決定?」

要「十中八九そうだろ」

悠「まさかの不信頼度…」

天空音「逆にいえば、それだけの安定感です」

悠「嬉しくねぇなぁー。」

千世子「じゃ、じゅぎょーするのだ。座敷わらしを「妖怪またはそれに近い存在」と、なぜこのような歯切れの悪い表現をするかというと、厳密に考えると座敷わらしは「妖怪」ではない可能性があるからなのだ。」

なのは「妖怪じゃないなら、幽霊かなにか?」

千世子「近いのだ。現在研究者のあいだで主流になっている意見が正しいとすると、亡霊といったほうが相応しい存在になってしまうのだ。」

フェイト「どうして?」

千世子「江戸時代頃から貧しい農村で行われていた子殺しの習慣が密接に関係しているのだ。」

要「子殺し…」

悠「おもに関東地方で「間引き」って呼ばれてた習慣だな。これ以上家族が増えたら養っていけない家庭に赤ん坊が生まれた場合、その赤ん坊を殺して、餓えないようにする習慣。」

なのは「酷いの…」

揺光【その当時は、産まれたばかりの赤子はまだ人間として認められておらず、殺しても犯罪にはならなかったんじゃ】

灼羅「殺された赤ん坊は、家の入り口や土間、敷居の下、石臼の下などに埋められたのじゃ」

千世子「つまり、我が子を殺した罪悪感が子供の姿の幽霊を見せ、子殺しの罪を覆い隠すために、その幽霊を「妖怪座敷わらし」と呼んだ可能性が否定できないのだ。」
96/100ページ
スキ