ー奇談ー學校へ行こう2

ー教室(7/1/夜)ー

毎夜行われる、浮き世離れした夜の授業。
今日も取り壊されないまま、時代から取り残された廃校で授業がはじまろうとしていた。

悠「ついに七月突入か」

千世子「今日はちゃんとじゅぎょーするのだ」

悠「へいへい」

なのは「フェイトちゃん、フェイトちゃん、コショウ?」

フェイト「……少々」

なのは「にゃはは」

フェイト「なのは、もうやめてよ…」

灼羅「よきかな、よきかな」

揺光【zzz…zzz…】

花描「……昨日から寝っぱなしじゃないよな?」

摩耶「写真のように動いてないね」

千世子「じゃあ、今日はこれなのだ」

【油取り】
東北地方をパニックに

要「油取り?」

千世子「油取りは、東北地方に出没する、子供をさらう妖怪なのだ。」

悠「要ちん…」

要「拐わんし、妖怪はお前だろ!」

悠「妖怪はあちら」

揺光【zzz…zzz…】

千世子「この妖怪の特筆すべきところは「時代」なのだ。」

フェイト「時代と…」

なのは「フェイトちゃん綺麗な字だよね」

フェイト「そうかな?」

千世子「油取りは、妖怪の全盛期である室町~江戸時代じゃなく、明治維新で近代化が進んでいた明治時代に広まった妖怪なのだ」

摩耶「灼羅ちゃん、書くものは?」

灼羅「わっちは焼き書きじゃ。筆を使わずともこう指でなぞれば…」

花描「へぇ、印刷したみたいに字を焼いてるのか」

千世子「油取りの噂が広まったのは、明治時代初期の東北地方なのだ。油取りは夕方過ぎに村にあらわれては、子供をさらっていくというのだ」

神姫「……」

悠「……」

神姫「……」

悠「……zzz」

神姫「寝るな。」

パアン!
悠「痛!!?」

天空音「容赦ないです」

神姫「貴女もやっていいわよ」

天空音「わかりましたです♪」

悠「なにこの嬉しくないダブルパンチな状況…」

千世子「この話しは本当にあった事件として村々に伝わり、親は子供に夕方になったらすぐ家に帰るよう、きつくいい聞かせてたのだ」

揺光【zzz…zzz…】

千世子「なかには「夕方以降は女子供は外出禁止」のお触れをだした村もあるのだ。油取りは明治という時代の中で、実在する驚異と恐れられていたのだ。」

悠「私は今現在、驚異に囲まれている」

神姫「なに?」

悠「いえ、今日も神姫さんは見目麗しい」

天空音「あ、私はどうです?」

悠「天空音ちゃんは可愛いよ」

天空音「お上手です」

神姫「口八丁ね」

揺光【妾も混ぜてほしいのう】

悠「寝てたんじゃないのか」

揺光【面白気配を感じたんじゃ】

天空音「つまり、悠くんで遊びたいんですね」

悠「おれ「と」ではなくおれ「で」かい。」

千世子「岩手県の遠野地方には、油取りの噂を信じてパニックに陥った村もあるのだ。「昨日はそこ、今日はあそこの子供がさらわれた」なんて風説が流れたのだ」
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