ー奇談ー學校へ行こう2

ー教室(6/29/夜)ー

毎夜行われる、浮き世離れした夜の授業。
今日も取り壊されないまま、時代から取り残された廃校で授業がはじまろうとしていた。

悠「雨だな。」

花描「局地的豪雨みたいな雨のあとでかんかんに晴れるよな。」

悠「濡れた女の身体が熱でムレるのはエロイよな」

摩耶「そんな話してたっけ」

悠「え、夏は女のエロさを掻き立てるって話…」

神姫「……」

ガシッ…
悠「し、神姫さん…後ろからハグなんて情熱的な……っか、首に腕がめり込んでるんですが…」

神姫「ドラゴン・チョーク・インパクト…」

フェイト「こんばー」

なのは「こんばんわなー…の」

要「よーす…」

千世子「みんな来たのだ!じゅぎょーをするのだ」

揺光【ふむ。がっつり刺さっとるのぅ。】

摩耶「また床直さないとね」

なのは「あの…悠さ…」

灼羅「気にしなくていいのじゃ。」

要「そっとしておこう」

フェイト「いいの!?」

千世子「あんちんが床にめり込むことはよくあることなのだ。」

要「よくあるのか…」

千世子「雪女の起源のつづきからならのだ。雪女の伝承には産女にそっくりなものがあって、広い地域に伝わっているのだ。その内容は、赤ん坊をだいた雪女が通りかかった男性に赤ん坊を抱かせると、赤ん坊はどんどん大きく重くなって、男性を雪の中に埋めてしまうものなのだ。」

花描「ここには衝撃で床に埋まってる男性ならいるけどな。」

摩耶「いったん引き抜こうか。花描くん、足もって」

花描「いくぞ。せーの」

千世子「この話は、赤ん坊が重くなったせいで人間が圧死する、産女の伝承とほとんど同じ内容になっているのだ。」

灼羅「余談じゃが。このとき雪女の子供を抱くことを拒否した人間も殺されてしまうのじゃ」

要「抱いても赤ん坊が大きくなって埋まるんだから始末が悪いな。」

悠「……」

摩耶「完全に落ちてるから重たいや」

花描「起きてても、気絶してても邪魔だから始末が悪いな。」

千世子「けれど青森県には、この子供を抱かせるタイプの雪女をうまくやりすごした伝承があるのだ。その男は雪女から子供を抱かされるときに短刀を抜いて口にくわえ、赤ん坊を受けとると、赤ん坊の頭すれすれのところに刃が来るようにしたのだ。」

要「なるほど頭の上に刃があるから赤ん坊は大きくなれないのか」

千世子「そうなのだ。武士は無事に赤ん坊を雪女に返したのだ。雪女は子供を抱いてくれたことに喜び、さまざまな宝物と異常な怪力を武士に与えたというのだ。」

揺光【赤子をだかされて生き残ると怪力が手に入るというのも、産女の伝承の典型的なひとつじゃな。】

千世子「今日はここまでなのだー。」
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