ー奇談ー學校へ行こう2

ー教室(6/28/夜)ー

毎夜行われる、浮き世離れした夜の授業。
今日も取り壊されないまま、時代から取り残された廃校で授業がはじまろうとしていた。

悠「ちぇき。今日はなにして遊ぶよ。椅子投げか?」

神姫「……」

悠「冗談だから無言で椅子を掴みあげんでくださいませ。」

千世子「今日はちゃんとじゅぎょーするのだ。」

花描「まぁ、二日してなかったしな。」

要「なんの授業してたっけ。」

灼羅「雪女じゃろ」

千世子「雪女のなかには老婆や一本足など、美人のイメージとほど遠い姿をしたものが少ないのだ。」

なのは「そういえば雪女はなんで美人なの?」

揺光【決まっておる。男は美女のほうが好きだからじゃ。のぅ、悠】

悠「否定はしない」

要「そんな訳あるか。」

千世子「そのとおりなのだ。」

要「そうなの!?」

千世子「たとえば美人画で有名な江戸時代の浮世絵師「喜多川歌麿」は雪女を「白無垢」という女性の結婚式用衣装に身を包んだ花魁として描いているのだ」

フェイト「なのは、花魁てなに?」

なのは「えと…悠さん」

要「なんで俺に聞いてくれないんだ…」

悠「花魁(おいらん)は、吉原遊廓の遊女で位の高い者のことだ。吉原遊廓とか、遊女のことは要ちんに聞いたらいいよ」

要「そんなパスはやめろ!」

神姫「続けていいわよ」

千世子「雪女を美しく描くことは江戸時代中期以降の流行だったのだ。歌麿以外の作品でも雪女は美女として描かれたのだ。また、明治時代の作家、小泉八雲が書いた怪談集「怪談」に収録された雪女の話では、雪女は好きになった人間の男に尽くす美女として描かれているのだ。」

揺光【なんと、妾は雪女じゃったのか】

悠「お前は百人が百人、狐っていうよ」

揺光【かんらかんらかんら~】

灼羅「ときどき、妙な笑い方するのな」

千世子「この「怪談」の雪女像はさまざまな作品のモチーフにされてるのだ。それが現在イメージする雪女の元になった存在だといえるのだ。」

悠「雪女じゃなく、超低温幼女ならうちにいるけどな。溶けかけで」

要「こんどアイス差し入れにいくよ」

千世子「雪女が世の中で語られるようになったのは、いまから600年ほど前、室町時代という説が有力なのだ。」

神姫「起源でもあるの?」

悠「アカムトルムか」

摩耶「起源にして頂点だね」

千世子「雨の夜に子供を抱いている女性の妖怪「産女」といわれてるのだ。産女の伝承が雪国の山中に伝えられたときに、雨の夜という状況が雪降る夜という状況に置き換えられ、それにあわせて現在の雪女の姿が生まれたというわけなのだ。じゃあ、今日はここまでなのだ。」

悠「なんかかき氷食いたくなってきた。」

摩耶「悠くんのお店いこうよ」

悠「いっても作るのおれじゃん。」
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