ー奇談ー學校へ行こう2

ー教室(4/24/夜)ー

毎夜行われる、浮き世離れした夜の授業。
今日も取り壊されないまま、時代から取り残された廃校で授業がはじまろうとしていた。

千世子「今日はちゃんとじゅぎょーするのだ」

悠「あー、いいよ。」

神姫「なんの授業かしら」

千世子「えと、今日はこれなのだ」

【ベルフェゴール】
結婚不信で人間不信

摩耶「ベルフェゴールってトイレに座ってる悪魔だっけ?」

花描「かな?」

千世子「ベルフェゴールは、キリスト教の七つの大罪のうち「怠惰」をつかさどる悪魔なのだ。彼は同時に女性不信、好色をつかさどる悪魔であり、つねにだらしなく口を開けっぱなしにしているというのだ。」

神姫「腹立つタイプね」

悠「神姫さんに腹立たないタイプのひとはいるのですか?」

神姫「いるわよ!」

千世子「怠惰で非道徳なベルフェゴールだが、反面、発明や発見といった建設的な才能にも優れているらしいのだ。」

悠「誰にでもなにかしらの才能はあるってことだな」

摩耶「悪魔である事態もひとつの才能じゃないのかな?」

花描「しかも大罪の七つのひとつだしな。よっぽど位は高いだろ。」

悠「おれもなんか建設的な才能が開花しないだろうか。」

摩耶「悠くんには壁を作らない社交性の高いスキルがあるじゃん。」

悠「摩耶…」

神姫「別の言い方をしたら礼儀知らずでコミュニケーション能力がヤバイだけよね。」

悠「いってくれるなをい…」

神姫「なに?」

悠「なんでも無いです。」

千世子「ベルフェゴールは、地獄でルシファーを補佐する六人の副官のひとりとしても知られているのだ。彼は現在は堕天使であるが、天使だったころは天使の九階級の七番目、権天使(プリシンシバリティ)の階級にあったのだ」

悠「恋の堕天使とはおれのことだかな。」

花描「それはフラグをへし折る天使のことか?」

摩耶「まさに堕天使だね」

悠「いいもん。いいもん。どうせおれは疫病神だよ。」

神姫「天使だか、神だかはっきりしないわね」

千世子「ベルフェゴールの特徴的な外見は、コナン・ド・ブランシーの『地獄の辞典』によって世界中に広まったのだ。この本によれば、彼はねじれた二本の角を頭にもち、顎に髭を蓄えて、牛の尾を生やし、洋式便器で移動式の椅子に座っているというのだ」

神姫「車イスじゃダメなのかしら」

千世子「洋式便器に座るという奇妙な姿で描かれた原因は、ユダヤ教の教えにあるのだ。ユダヤ教の司教指導者「ラビ」たちは、ベルフェゴールは便器や排泄物を捧げられると喜ぶ、と教えており、ここから洋式便器というイメージが産まれたようなのだ。」

悠「おっさんと便器って醜悪だな。」

千世子「妖艶な美女の姿で人間の前にあらわれることも少なくないのだ。」

悠「マジか…」

千世子「今日はここまでなのだ。」
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