ー奇談ー學校へ行こう(2)7

ー教室ー

毎夜行われる、浮き世離れした夜の授業。
今日も取り壊されないまま、時代から取り残された廃校で授業が始まろうとしていた。

馬『ブルルッ!』

悠「……馬だ」

摩耶「馬だね。」

神姫「馬ね。」

亘理『なんで教室に馬がいるの?』

悠「しらんが~な~。」

【トプカピ】

千世子「とりあえず大人しいし、じゅぎょーするのだ。蠱惑的な深緑の石、エメラルド。そのあまりの美しさに魔物も避けるといわれたこの石ですが、実はダイヤモンドほど魅力的なエピソードを持った名品はあまり残されてないのだ。」

悠「この状況でも授業を始める度胸」

神姫「まぁ、暴れてもないしいいでしょ。」

サタン「馬ってなに食べるのだ?」

亘理『ニンジンとかかな』

悠「野菜だな」

千世子「エメラルドの結晶の性質上、ダイヤほど大きな石になりにくいことと「エメラルドと人間に傷のないものはない」と例えられるぐらい内包物や傷の多い石であること、その美しい色味を生かすために様々な形にカットされやすいことが原因と思われるのだ。」

悠「おれは傷なんてないぞ」

神姫「は?」

摩耶「粉々に砕けてるから傷どころじゃないってことかな」

亘理『悠ちゃん…』

悠「憐れんだ目で見るんじゃない!」

千世子「そんな中、43カラットから60カラットもの最高級のエメラルドを3つも擁し、他にも無数のダイヤやエメラルドで飾られた短剣が存在するのだ。複雑な透かし彫りが施された鞘、束の頭部にも3センチほどのエメラルドが取りつけられ、見る者を圧倒させる豪奢なこの短剣は、実に数奇な運命をたどったのだ。」

サタン「野菜野菜……野菜ないのだ?」

恋大根『……』
ダダダッ

悠「大根は食わないんじゃないか…。せめてキャベツとか」

スキュラ「レタスならありますよ」

サタン「それでいいのだ!」

悠「なんでレタスが玉であるんだ…」

千世子「1747年、オスマントルコ帝国のスルタン・マフムール・シャーは隣国ペルシア(現在のイラン)のスルタン、帝ナディール・シャーとこの宝剣を贈ったのだ。」

サタン「ほらほら、我が施してやるのだ。」
スッ
馬『ブルル……ガリ、バリッ。』

悠「あ、普通に食うんだ」

神姫「……っていうか、あの馬、足が6本あるわね。」

悠「六本足の馬……スプレイニル?」

千世子「なんとも気前のいいプレゼントに思えますが、当時のトルコの外交術は「戦より贈り物の方がずっと安上がり」というものなのだ。このエメラルドたちも帝国の平和と繁栄のために隣国へと送られていくことになったのだ。今日はここまででつづきはじかいなのだ。」
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