ー奇談ー學校へ行こう(2)7

ー教室ー

毎夜行われる、浮き世離れした夜の授業。
今日も取り壊されないまま、時代から取り残された廃校で授業が始まろうとしていた。

亘理『いつの間にか冬になってない?』

悠「何を言っとるんだ?」

亘理『いや、なんか寒いなぁって』

摩耶「そうだね。冷えてるね。」

悠「ミカンあるぞ」

サタン「食べるのだ。」

悠「ほれ」
スッ

サタン「……」
スッ

悠「なんでつき返してくる。」

サタン「皮を剥くのだ」

悠「何様だ!」

摩耶「魔王様でしょ」

悠「さよか」
剥き剥き

神姫「そこで納得するのね。」

悠「慣れてるからな。ほれ」

サタン「ハグッ、モグモグ」

亘理『ひと玉をひと口?!』

悠「我が家でもよく見るぞ。ポンポン食べていくんだ、ゆえが。」

摩耶「だろうね」

悠「箱で買ったミカンがすぐに消えていくのは圧巻だぞ。はははっ。」

千世子「笑っていいのだ?」

悠「笑えよ、ベジータ」

千世子「ベジータじゃないのだ」

悠「まぁ、箱の中で緑のカビ玉にならない分マシだ」

摩耶「ああ、気がつかないうちにひとつにカビ生えたら次々と他のにも付着するからね。」

悠「そうなんだよ。つかんだのがカビのやつだったらスゲェ気分悪くなる。」

神姫「で、食べるの?」

悠「喰わねぇわ!」

スキュラ「食べ物は腐りかけが美味しいともいいますけどね。」

悠「ものによる。ものによる!」

摩耶「熟成とか発酵と腐敗は違うしね。」

悠「まぁ、おれは熟成されててもピータンとかは苦手だけどな」

亘理『ピータン?』

悠「モンスターの方じゃないぞ」

亘理『いや、どっちも分かんないんだけど』

摩耶「ピータンはアヒルの卵を強いアルカリ性の条件で熟成させたものだよ。」

サタン「それ美味しいのだ?」

悠「おれは苦手だ。」

摩耶「アンモニアや硫化水素を含む独特の匂いと刺激的な味をだね。」

サタン「……おいしそうに思えないのだ」

神姫「好き嫌いはわかれると思うわ。」

亘理『どうやって食べるの?』

摩耶「食べるときは殻についた粘土や籾殻などを洗い落としてから殻を剥いて食べるんだよ。できればスライスしてしばらく空気にさらし、匂いが減ったころに食べるといいよ」

亘理『は、はぁ…。』

神姫「私は結構好きだけどね。ピータン豆腐とか」

千世子「ピータンを使って豆腐を作るのだ?」

悠「いや、ピータンを細かく刻んで豆腐の上に乗せる料理だ。ロウソンっていう豚肉のフレークのようなものと、台湾独特の醤油膏(ジャンヨウガオ)というドロドロとした甘辛い醤油をかけて食べるんだ」
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