ー奇談ー學校へ行こう(2)6

ー教室ー

毎夜行われる、浮き世離れした夜の授業。
今日も取り壊されないまま、時代から取り残された廃校で授業が始まろうとしていた。

悠「はぁー、今日もいい天気」

亘理『雨降ってるけど』

摩耶「すっげー土砂降りだよね」

悠「細かいことはいいんだよ。なぁ?」

蛇神『せ、せまいっ』
ギチギチっ

千世子「はい、じゅぎょーしますなのだ。前回の続きからでオルレアン公爵フィリップに競り落とされ、フランスへと行きついた「リージェント」は、オルレアン公の手から国王へと渡り、やがて、かの悲劇の王妃マリー・アントワネットにこよなく愛されて彼女の黒いヴェルベット帽子を飾っていたというのだ。」

悠「蛇子はまず姿うんぬんじゃなくて自分のサイズを調整できるようになれよ」

亘理『蛇子……。』

悠「ちなみに雨は蜘蛛子だ」

サタン「雑なのだ」

雨「吊し上げてじわじわと絞殺したい」

千世子「しかし「リージェント」は1792年に王室財宝庫から盗難されてしまうのだ。盗まれた有名なダイヤの末路は大抵決まっているのだ。どこかにいくつにもカットされて売り飛ばされてしまい、二度と持ち主の元には戻ってこないのだ。ですが、この「リージェント」があまりに蠱惑的だったせいでしょうか?盗賊団は仲間割れをし争っているうちに官憲に捕まってしまい、「リージェント」は盗難当時のままの姿で再びフランス王室へと戻ってきたのだ。」

蛇神『身体ってどうやって縮めるんですかね?』

スキュラ「そうですね……まず、自分という本体部分とサブパーツ部分を分離させて」

蛇神『できません』

ベヒモス「不必要な力をコアに集中して制御するモス」

蛇神『わかりません』

千世子「その後、この石はナポレオンの載冠式で彼を飾った後、その妻マリー・ルイーズへと贈られたのだ。オーストラリアの姫君だったマリー・ルイーズは夫の死後、これを故郷へと持ち去ってしまうのですが、やがてオーストラリア皇帝からフランスへと変換されたのだ。第二次大戦中は敵国から盗られぬようにとシャンポール城に送られ、梁板の裏に隠されたとか。」

サタン「気合なのだ。」

蛇神『無茶苦茶いってますよね?』

悠「もうエナジードレイン的なので力を全部吸えばいいんじゃね?」

蛇神『それ、死にますよね?』

悠「そんな姿の邪神が簡単に死ぬわけ……痛い痛い、腕四本で色んなところ抓るのやめて、超痛い」

千世子「そんな努力が実って、現在ではルーブル美術館に収蔵され、その美しさと輝きで我々を楽しませているのだ。以上、リージェントのじゅぎょーだったのだ。」
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