ー奇談ー學校へ行こう

ー教室(11/27/夕~夜)ー

夕暮れと夜との堺。
廃校のなかの教室から少女の歌声が聞こえてくる。

千世子「ひとつ、ふたつ、みっつで手を開いて~♪」

かなり大きめの白衣を着ているので千世子が少し動くたびに布がパタパタと舞う。

悠「なるほど、廃校に出る子供の霊、白い霊魂、歌声。外から見たり聞いたりしたら噂にもなるなぁ…」

千世子「あ!悠のあんちん。早いじゃないかどうしたんだ?」

悠「ちょっとデパートで美味いもの市しててな。結構買ったからぴよこと食べようと思ってな。」

千世子「うまいものいち?」

悠「知らないのか?」

千世子「し、知ってる!」
悠「……」

千世子「ごめんなさい知らないです」

千世子は白衣の裾を掴んで上目使いに悠を見た。

悠「謝らんではいいが…お前頭いいのにこういうのは知らないんだな。食べ物とか興味ないか?」

千世子「ううん。美味しいの好きだ。」

悠「そか。じゃあ、豪華に北海道蟹弁当を食べないか?」

蟹の身がこれでもかとギッシリ詰まった弁当を教卓の上に置いた。

千世子「たべていいですか!」

悠「どうぞ。慌てて喉に詰めるなよ」

千世子「あんちん、だいすきっ~!いただきます」

悠「現金な奴だな。」

千世子「ハムハム、あんちんはお金持ちか?」

悠「貧乏だよ。」

千世子「えぇ、貧乏なの…?」

悠「人並みって事だ。っか、金があるとか無いとか子供が考えるな。」

千世子「はーい。」

悠「うん。よろしい。」

ナデナデ…
ナデナデ…
悠が頭を撫ではじめると、千世子ははわ~っと小さく震えて動かなくなる。

千世子「あんちんのナデナデいい~……って、千世子がせんせぇなの!悠は生徒!ナデナデするのは千世子!」

悠「じゃあ、ナデナデしなくていいのか?」

千世子「ダメー!悠は千世子の頭ナデナデすーるーの!」

悠「はいはい…」

摩耶「ちぇき~。なんか、本当にちぇき~してるね。」

悠「よう。なにバカいってる」

摩耶「つーん」

悠「なんで?!」

千世子「ハムハム、パクパク……ゴクン。じゃあ、まーやが来たので出席をとります。悠のあんちん」

悠「へーい。」

千世子「まーや」

摩耶「はい、今日も元気です」

千世子「全員出席。偉い、偉い。さて今日からはついに個体でドラゴンの授業をしていきます。まず最初は……」

千世子は背伸びして黙々と黒板に字を書いていく。

【黙示録の赤い竜】
生息地域:イスラエル
出典:新約聖書「ヨハネの黙示録」

悠「うわ、字綺麗だな」

摩耶「しかも漢字かけるんだね」

千世子「せんせぇだから当たり前です!」

悠「いや、黙示録なんてどうやって覚えたりした?」

千世子「普通に?」

悠「うわ、天才型だ」

摩耶「ちょこ先生、さすが~」

千世子「えへ、そ、そうかなぁ。えへへ。」
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