ー奇談ー學校へ行こう(2)6

ー教室ー

毎夜行われる、浮き世離れした夜の授業。
今日も取り壊されないまま、時代から取り残された廃校で授業が始まろうとしていた。

悠「力を得て進化したなら力を吐きだしたらいいんじゃね?」

蛇神『どうやって?』

悠「いや、しらない」

蛇神『しくしくしくしくしくしく』

亘理『悠ちゃん、泣かすのはちょっと…』

悠「じゃあ、亘理が何か知恵貸してやれよ。」

千世子「とりあえずじゅぎょーしますなのだ。前回の続きからで文明開化の明治時代、資本家の間でダイヤモンドは憧れの宝石になっていくのだ。かの鹿鳴館では、華やかなドレスに身を包んだ女性たちが、ダイヤモンドを身に着けて踊っていたという記録もあるのだ。しかし、当時庶民にはとても手にすることができない高価なものだったのだ。」

亘理『……』
ズズッ

悠「こらこら逃げるんじゃない」

神姫「この状態で気にせず授業始める千世子は大物ね。」

摩耶「慣れてきてるんだろうね。」

蛇神『しくしく』

千世子「当時の小説の「金色夜叉」の中にも書かれていますが、2カラットのダイヤモンドが300円したそうなのだ。当時、都内の一戸建て借家の家賃が75銭という金額ですから、家賃の300倍の値段だったというわけなのだ。」

サタン「我にいい考えがあるのだ」

悠「はい、サタン君」

サタン「更に力を送りこんで神化させたらいいと思うのだ」

悠「という提案が出ましたが?」

蛇神『……余計おかしくなりません?』

千世子「これを試しに現在の値段に換算してみるのだ。今現在都内のワンルームマンションの家賃を7~8万円と仮定するのだ。その300倍だと2000万前後になるのだ。そのぐらいの値段だったというわけなのだ。」

悠「さぁ」

蛇神『他人事!』

悠「だって実際他人……他蛇ごとだし、なによりどういう形態になりたいんだ?」

蛇神『こう輝かしい、人から信仰されるような』

サタン「つまり金色で…」

蛇神『違います』

千世子「現在ではさすがにそこまで高価ではありませんが、それでも1カラットで約100万円なのだ。勿論ルースのみの金額ですから、これを指輪にしたりペンダントにしたりと加工すれば、さらに高価になるのだ。」

サタン「なんか否定されたのだ」

悠「輝く=金色ではないからな」

サタン「え?」

悠「え?」

蛇神『神々しいという意味ですよ。』

千世子「それほどに高価なダイヤモンドですが、近年日本は、ダイヤモンド購入国としては世界二位なのだ。初めて持ちこまれたときはまるで無視されていたダイヤモンドがこんなにも親しまれるとは、持ちこんだオランダ商人も予想しなかったでしょうなのだ。以上、日本におけるダイヤモンドのじゅぎょーだったのだ。」
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