ー奇談ー學校へ行こう(2)6

ー教室ー

毎夜行われる、浮き世離れした夜の授業。
今日も取り壊されないまま、時代から取り残された廃校で授業が始まろうとしていた。

悠「あー、なんか珍しいもの食べたいわぁ。」

サタン「そう来ると思っていいものを用意しておいたのだ。」
スッ
蜘蛛『うごうご』

悠「デカい蜘蛛じゃん…」

雨「ビクッ!」

サタン「遠慮せず食べたらいいのだ」

悠「いやいや…」

千世子「はい、じゅぎょーしますなのだ。前回の続きからで『ユーカリダイヤモンド』を売却した人物、ニカルクはこれがダイヤモンドであると確信し、羊飼いの持つダイヤと自分の全財産すべてを交換することで手に入れたのだ。」

神姫「生で齧るの?」

雨「ビクッ」

亘理『雨ちゃんが怯えてるんだけど』

サタン「違うのだこの蜘蛛の糸を食べるのだ。」

悠「糸を伸ばせば!」

千世子「ニカラクは、この石がダイヤモンドであることで調べ、『ユーカリダイヤモンド』よりも大きく素晴らしいダイヤモンドであると訴え、高値で売り抜けたのだ。このダイヤは現在、デビアス社が所持しているのだ。」

摩耶「ジョリーンはいいから。」

サタン「こうやって割り箸を用意して、ちょっと蜘蛛を刺激すると」

蜘蛛『……』
ぶわっ!

悠「うおっ、素麺のぐらい太い糸だな。」

サタン「あとは割りばしに巻きつけていくのだ。」
巻き巻き

千世子「ニカラクはこの事で大きな富を得るわけですが、この『南アフリカの星』がきっかけとなり、南アフリカにダイヤモンドラッシュが起きるのだ。」

サタン「ある程度巻終わったら、はい、できたのだ。」

悠「わたあめならぬ糸あめか?」

サタン「食べてみるのだ」

悠「はぐっ」

亘理『躊躇がない…。』

千世子「『ユーカリダイヤモンド』の紹介でも述べていますが、19世紀には最大産出国であったインドのダイヤモンド産出は減り続けていたのだ。またブラジルの産出も急速に落ち込みつつあったため、新たなダイヤモンド鉱山の発見が期待されていたわけですが、そのときに『ユーカリダイヤモンド』が発見されたのだ。」

悠「んー、むぐっ……ちょっとしょっぱくてうまいな。」

摩耶「しょっぱいの?」

悠「ああ、何だろうな。うす塩味の効いた食パンを糸状にして巻いたものを食べてる感じ。上手いぞ」

サタン「魔界の海辺では手ごろなおやつとして売られているのだ。」

千世子「これにより、南アフリカはダイヤモンド産出の可能性が少なからず出てきたのだ。しかし『ユーカリダイヤモンド』の発見は、南アフリカのダイヤモンド産出への大規模な投資を促すまでは至らなかったのだ。」

神姫「海辺?」

サタン「そうなのだ。この蜘蛛は海の岩場に巣をつくって生息するのだ。」

悠「へー、珍しいな。」

摩耶「僕も一本もらえる?」

サタン「いいのだ。いっぱい捕まえてきたからいくらでも作れるのだ。」

千世子「ところが、その後『南アフリカの星』が発見され、良質で大粒のダイヤモンドが眠る土地として、探鉱かが続々とオレンジ河を目指して集まってきたのだ。その後、大きな鉱山が次々と発見され、南アフリカはダイヤモンド産出国として、確固たる地位を築いたのだ。以上、アフリカの星のじゅぎょーだったのだ。」
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