ー奇談ー學校へ行こう(2)6

ー教室ー

毎夜行われる、浮き世離れした夜の授業。
今日も取り壊されないまま、時代から取り残された廃校で授業が始まろうとしていた。

悠「なんかいい感じに甘酸っぱい物が食べたい」

千世子「いい感じにってなんなのだ」

摩耶「梅干しのはちみつ漬けとかかな」

悠「おれは梅干しはしっかり酸っぱい酸っぱいのが好きだ。」

亘理『酸っぱいが二回出た。』

悠「酸っぱいを「ちゅーぱいっ」ていうと何かエロくない?」

神姫「ぶっ飛ばすわよ」

悠「ひぇっ…。」

【南アフリカの星】 

千世子「はい、じゅぎょーしますなのだ。『ユーカリダイヤモンド』発見の二年後の1869年。『南アフリカの星』と呼ばれるダイヤモンドが発掘されるのだ。大きさは原石で87カラット、カットされて小さくなり、現存しているものは47.5カラットなのだ。」

悠「コホン。こう暑いと甘酸っぱいもの食べたくならない?」

摩耶「だから梅干しでイイじゃん」

悠「いいんだけどな」

亘理『いいんだ…』

ベヒモス「酸っぱくはないけど甘いものならあるモス」

千世子「この『南アフリカの星』は、南アフリカのダイヤモンド産出を促進したダイヤモンドと言われているのだ。」

悠「なになに?」

ベヒモス「岩窟蟻の蜜炎玉モス」

悠「パードゥン?」

ベヒモス「岩窟蟻の蜜炎玉モス。」
ゴォォォ

亘理『ひぇ……赤い玉が火を放ってる。』

千世子「『ユーカリダイヤモンド』と同じく、偶然発見されたダイヤモンドなのだ。オレンジ河の近くを通りかかった羊飼いが、道に転がっている光る石を発見するのだ。これが『南アフリカの星』の原石だったのだ。」

悠「それをどうしろと…」

ベヒモス「普通に食べるモス。パクッ
……んー♪」
ゴォッゴォッ!

摩耶「口の端から火が噴き出てる。」

亘理『リアルファイアーブレス』

悠「うーん、わりと何でも躊躇なく口にするおれだけど、これは無理。」

千世子「この原石を、羊飼いは売却しようとしていたのだ。何せそのころ、ダイヤモンドを見つけたものには、懸賞金が出されていたのだ。そのころ、南アフリカの農民たちの生活はかなり厳しく、羊飼いも困窮していたため、誰にでもよいから売却したかったのだ。」

ベヒモス「燃えるような甘さなのにモス」

悠「実際に燃えてるんだよなぁ。それ、炎は消せないのか?」

スキュラ「岩窟蟻の蜜炎玉の炎を消すとすぐに蜜が零れ落ちてしまいますから入れ物があれば可能ですね。」

摩耶「炎で包まってるんだ」

神姫「へぇ、不思議なものね。」

千世子「が、誰も買い取ってくれず、困っていたところに『ユーカリダイヤモンド』を売却した人と偶然知り合うのだ。今日はここまでで続きは次回なのだ。」
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