ー奇談ー學校へ行こう(2)6

ー教室ー

毎夜行われる、浮き世離れした夜の授業。
今日も取り壊されないまま、時代から取り残された廃校で授業が始まろうとしていた。

悠「梅雨に入ったなぁ。じっとりしてるわぁ。」

亘理『湿度が高くてジメジメだねぇ。』

悠「何とかできんかなぁ。」

摩耶「除湿機でももってくる?」

悠「誰が?」

摩耶「悠君」

千世子「はい、じゅぎょーしますなのだ。南アフリカで初めて発見されたダイヤモンド、それがユーカリダイヤモンドだったのだ。」

悠「あれってけっこういいお値段するよな」

神姫「1.2万ってとこかしら」

悠「それをポンッと出す勇気はおれにはない」

サタン「じゃあ、どういう勇気ならあるのだ?」

悠「恐怖を我が物とすること」

サタン「は?」

千世子「1866年、南アフリカの農夫の子供たちがオレンジ河で光る石を見つけるのだ。それが、このダイヤだったのだ。きらきらしてとても綺麗だったのでしょう。このダイヤは発見した子供たちの妹が、遊び道具にしてしまうのだ。」

悠「人間賛歌は勇気の参加!勇気とは恐怖を我が物とすることじゃァッ!!」

神姫「うるさい」

悠「はい」

累「波紋で湿気散らせばいいじゃん」

悠「無茶を言う」

千世子「が、それを見ていたその子供の親の知人である、ニカルクという人がダイヤではないかと思い興味を注いでいたので、農夫の親はこの石をニカルクに無償であげてしまうのだ。その石は人を介して、ダイヤだという事が判明し売却されたのだ。その売却した金を持って農夫の知人は農夫の家に行ったのですが、農夫たちはその金を受け取ることはなかったというのだ。」

摩耶「散らすより集めてひとつの水にして捨てた方が早いかも」

悠「キリマンジャロの雪解け水」

神姫「どこに雪があるのか」

スキュラ「私はもっと湿度が上がってもいいですけどね。」

悠「むしろ水中のが元気だろ、アンタは」

千世子「発見された「ユーカリダイヤモンド」はカットされ、パリの万国博覧会で初めて人前にお目見えしたのだ。このとき、大きさは10.73カラットとずいぶん小さくなり、その後は色んな人の手を転々としたのですが、1967年、南アフリカのケープタウンに寄贈され、今はキンバリー鉱山博物館に展示されているのだ。」

スキュラ「深海とかベストですね。」

神姫「陸上でいる方が不便そうよね。」

スキュラ「もう慣れましたね。」

悠「水が得意なんだから湿気もどうにかしてくれない?」

スキュラ「じゃあ、湿気を集めて水にして捨てましょうか」

悠「できるんかい…。」

千世子「「ユーカリ」という言葉は、ギリシャ語の「やった!みつけた!」という歓喜の言葉で、それほど発見が嬉しかったということなのだ。その後、南アフリカではダイヤモンドの大鉱床が発見され、今では世界一のダイヤモンド産出国となっているのだ。以上、ユーカリダイヤモンドのじゅぎょーだったのだ。」
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