ー奇談ー學校へ行こう2

ー教室(4/20/夜)ー

毎夜行われる、浮き世離れした夜の授業。
今日も取り壊されないまま、時代から取り残された廃校で授業がはじまろうとしていた。

悠「神姫って鉛筆派なんだな」

神姫「そうね」

摩耶「シャープペンのが楽じゃない?」

神姫「削るのが好きなのよ」

悠「え、素手で?」

神姫「……」

サクッ

悠「痛っっ!?デコを刺すな!」

花描「刺さったままだぞ」

千世子「じゃあ、ベルゼブブ最後のじゅぎょーなのだ」

悠「まてまて、お兄さんのデコに鉛筆突き立ってるんだぞ?授業どころじゃないだろ」

摩耶「抜けばよくない?」

神姫「返してよ。私の鉛筆よ」

ズポッ

悠「痛~…」

花描「平気だな」

悠「平気じゃねぇよ」

千世子「じゃあ、どうしたらいいのだ?」

悠「ふむ…傷口なめてもらおうか」

神姫「変態」

花描「ピエロリコン」

悠「うるせー!」

神姫「なに?」

悠「なんでもありません」

千世子「な、なめたらいいのだ?」

悠「なめてくれるのか?」

神姫「ワサビでも塗り込んでなさいよ」

摩耶「気にしないで授業つづけていいよ。」

千世子「えと…15~17世紀は、ベルゼブブがすべての悪魔の頂点に立つという説がもっとも支持された時期だったのだ。」

悠「う~む…微妙にマジで痛い。」

摩耶「かゆみ止めならあるよ?」

悠「うん。いらない」

千世子「そしてこの時期は「魔女狩り」「悪魔祓い」といった風習がヨーロッパに広がっていた時期でもあったのだ。」

花描「魔女狩りか…」

神姫「というか、本物の魔女ならそもそも狩られないと思うわ。」

千世子「当時のヨーロッパ人にとってベルゼブブは悪魔の王であり、宗教関係者にとっても民衆にとっても恐れるべき存在だったのだ。このベルゼブブは「魔女を支配する悪魔」とみなされ、ベルゼブブにまつわる魔女や悪魔憑きの事件が多数発生したのだ」

悠「魔女の宅配便は?」

摩耶「種類が全然違うよね」

千世子「キリスト教側の資料によれば、魔女は躍りながらベルゼブブの名をとなえ、イエスを否定する儀式を行ったというのだ。また、ベルゼブブ本人が魔女たちと乱交をおこなったなどの話が数多く残っているのだ。」

悠「乱交…」

花描「食いついたよ…」

悠「ハーレムを目指してるおれには重要なワードだ」

神姫「……」

悠「ひとが殺せそうなくらい冷たい眼!?」

千世子「悪魔憑きにおいてもベルゼブブの存在感は際立っているのだ。2000人の信徒の前での公開悪魔祓い「ランの奇跡」、ベルゼブブと契約書を交わしたという「ユルバン・グランディ神父」の事件、20世紀におきた悪魔憑き「アンナ・エクランド」事件……以上すべてがベルゼブブにかかわる悪魔憑き事件であり、この他にも無数の人間がベルゼブブ憑きに苦しめられたのだ。以上ベルゼブブのじゅぎょーだったのだ」
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