ー奇談ー學校へ行こう(2)6

ー教室ー

毎夜行われる、浮き世離れした夜の授業。
今日も取り壊されないまま、時代から取り残された廃校で授業が始まろうとしていた。

神姫「前の話を聞いて気になっていたんだけど…」

悠「ん?」

神姫「メフィストが悪意を力にできる能力があるのは分かったけど……どうして角兜がだせるわけ?それも全く同じものを」

サタン「そんなの決まってるのだ!……えーと……スキュラ」

悠「おいおい、決まってるんじゃないのかよ。」

千世子「はい、じゅぎょーしますなのだ。前回ホープダイヤは呪われているといわれましたが……後年呪いの事実がないことが発覚したのだ。もともと、呪いの話が出てきたのは、1909年のロンドンタイムスで、それが人づてに伝わり、更にホープ家の不幸(これは事実)も重なって、ただ宝石が「呪いの宝石」になってしまったのでは?と推測されているのだ。」

スキュラ「簡単に言えば魔法ですね。」

悠「でた、魔法」

スキュラ「しかし、無から有を生み出すのは上位悪魔でも簡単なものではありません。特に特殊な物質や唯一無二の素材でできたあの角冠などを出現させるとなれば……本来ならば不可能です。」

摩耶「でも出せてるんだよね。魔法だから?」

スキュラ「……憶測ですが記憶から生み出しているのだと思うのです。」

千世子「もともとはこのホープダイヤモンド、大きさが100カラット以上もあったといわれてますが、現存している物は45.5カラットなのだ。残り50カラット以上は、どこか歴史の中に埋もれているのでは?ということもあり、本当の呪いは現在する物ではなくもうひとつのダイヤだという人もいるのだ。」

悠「記憶?」

スキュラ「悪意を食らって自分のものにするということは感情や記憶も一緒にものにするとしたら……」

神姫「そのひとの記憶にある物を出現させられる、と」

摩耶「あれ、じゃあサタンちゃんの悪意を食べたってこと?」

サタン「食べさせてないのだ」

千世子「歴史から消えていった、もうひとつのブルーダイヤ。それはミステリアスでロマンあふれる「幻の呪いのダイヤ」なのかもしれないのだ。」

悠「自分の記憶から作り上げたんじゃないのか?十分、見たことも触れたこともあるだろうし」

摩耶「ああ、なるほどね。」

スキュラ「もちろん断定はできませんが……なにしろメフィスト様の能力は稀有ですからね。」

千世子「また、同じような「呪い」のダイヤで、「サンシーダイヤモンド」と呼ばれるダイヤがあるのだ。このダイヤが歴史上に初めて登場したのは、16世紀なのだ。サンシーの領主ハーレイが、アンリ三世に貸したダイヤモンド、これが「サンシーダイヤモンド」なのだ。今回はここまでで続きは次回なのだ。」
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