ー奇談ー學校へ行こう(2)6

ー教室ー

毎夜行われる、浮き世離れした夜の授業。
今日も取り壊されないまま、時代から取り残された廃校で授業が始まろうとしていた。

悠「おい、サタ子」

サタン「変な呼び方するななのだ。」
ググッ
悠「いつまでムクれてんだ。それとなぜひとにもたれかかってムクれるのか。」

サタン「うるさいのだ。」

悠「り~ふ~じ~ん」

千世子「はーい、じゅぎょーしますなのだ。現在では金は銀よりはるかに高い価値がありますが、紀元前ではそうではありませんでしたのだ。金は自然金出の形で採取でき、すぐに利用することが可能だったのだ。しかし銀は、大部分が化合物である銀行石の形で採れるのだ。ここから銀を採取するのは、科学が発達していない時代では非常に難しいことだったのだ。つまり当時は、金よりも銀の方が希少価値が高かったのだ。」

悠「じゃあ、おれがいいペットを探してやるよ。」

サタン「……どんな?」

悠「蟻とバッタどっちがいい?」

サタン「サタンオーラ」
グググッ!
悠「ぐぉぉっ!圧が!重力的なものが落ちてくるぉッ!」

千世子「しかし、埋蔵されている絶対量は、銀よりも金の方がはるかに少量なのだ。砂金など、採取しやすい金を取り尽くしてしまうと、金と銀の価値の差は少しずつ縮まっていき、やがて水銀を使った簡単な銀の生成方が発見されると、銀は大量に出回るようになり、その価値は大きく下がってしまったのだ。」

摩耶「楽しそうだね。」

悠「ぜんぜんっ!」

サタン「虫は嫌なのだ!」

悠「先にいっとけよ…」

スキュラ「虫も可愛いですけどね。おいしいし」

千世子「「沈黙は金、雄弁は銀」ということわざがあるのだ。これは一見「沈黙の方が雄弁より優れている」という意味に思えるのだ。しかし、実はこのことわざが生まれたのは古代ギリシャなのだ。この時代は銀の方が効果であったため、本来は「雄弁の方が沈黙より優れている」という意味を持っていたのだ。」

悠「じゃあ……蛙と蛇とトカゲなら?」

サタン「バジリスク?」

悠「そんなものを用意できるか。カナヘビとかアオダイショウだ」

サタン「ただのトカゲと蛇は嫌なのだ!」

悠「無茶をおっしゃる」

千世子「古代エジプトで発症し、中世ヨーロッパで広まった錬金術。これは簡単に言うと、鉄や銅、亜鉛などの卑金属を加工して、金や銀、プラチナなどの貴金属を生み出そうという試みだったのだ。といっても錬金術師たちは、金儲けのためにそれを行ったわけではないのだ。彼らは、完全なる金属=金を作りだすことで万物の心理に辿り着こうとした、いわば当時の最先端の科学者だったのだ。」

神姫「もうハムスターぐらいにしときなさいよ」

摩耶「インコとかは?」

サタン「強さがないのだ!」

悠「強さを求めるな」

サタン「他に何がいるのだ!」

千世子「もちろん、現在の科学を知っていれば、そんなことは不可能だとすぐわかるのだ。当然、彼らの試みはすべて失敗に終わったのだ。しかし、錬金術の実験の過程で、硫酸、硝酸、塩酸をはじめ、数多くの重要な発明・発見がなされたのだ。彼らの研究成果は、立派に現在の科学の礎となっているのだ。」

亘理『可愛さじゃないかな』

摩耶「生命力の高さ」

神姫「手間がかからない」

悠「なでくりまわせる……あ、これ白巳だ」

神姫「なにいってんの」

千世子「古来より太陽の象徴とされてきた金。強力な浄化の力を持ち、あらゆるものを純粋にすることができるといわれているのだ。また、金で出来たお守りは、身につけたものの心身のバランスを整える力があるとされるのだ。血液の循環を良くし、神経系統を強化して、様々な肉体的不調を改善してくれるのだ。金と宝石を組み合わせた場合、その宝石に太陽のパワーを分け与え、本来持っている性質・効能を高めてくれるともいわれるのだ。以上、金のじゅぎょーだったのだ。」
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