ー奇談ー學校へ行こう(2)6

ー教室ー

毎夜行われる、浮き世離れした夜の授業。
今日も取り壊されないまま、時代から取り残された廃校で授業が始まろうとしていた。

ロケットタートル『クアー』

悠「爆発すると聞いてアレだけど……可愛いな。」

ベヒモス「可愛いモス。」

摩耶「ちなみに自爆したら死ぬの?」

ベヒモス「今の殻と小さくなった固体が残るモス。自爆だと基本的に不死鳥みたいに一巡するモス」

悠「半不死身か?」

【ジルコン】

千世子「はい、じゅぎょーしますなのだ。ジルコンの名はアラビア語やペルシア語のザルグン=金色・朱色に由来し、2000年も昔からスリランカ産がアラビアやペルシアにまで伝わっていたことを物語るのだ。橙色系のジルコンはヒアシンスと呼ばれ、日本名の「風信子鉱」とはその当て字ですが、風情があって捨てがたい名前なのだ。」

ベヒモス「いや、自爆以外で死んじゃうとダメモス。あと、最小サイズの時は自爆でき無いモス。寿命はだいたい10万年モス。」

悠「うわぉ…」

摩耶「魔物は寿命の規模が違うね」

神姫「主食は?」

ベヒモス「火薬全般モス。あと可燃性の液体が好みモス。」

千世子「今日までに発見された最も古い鉱物は、およそ42億年前と考えられるジルコンの粒状結晶でオーストラリアの先カンブリア時代の推積岩中から発見されたのだ。純粋なジルコンは無色ですが、不純物や結晶欠陥にょって黄色、オレンジ色などの褐色系や黄緑色になることがあるのだ。微量成分として希土類元素やウラン、トリウムなどを含み、放射線による損傷によってメタクミト現象が起きていることもあるのだ。」

悠「ゆうなが見たらすっげー喜びそうだわ」

摩耶「プレゼントしてあげたら?」

悠「ハッハッハッ、ご冗談を」

ベヒモス「この子はあげられないけど、卵ならあげるモス」

悠「卵……あるんだ」

千世子「色は熱処理によって変化させることが可能で、加熱処理されたものが宝石として利用されているのだ。無色透明になったものがホワイト・ジルコン、青色になったものがブルー・ジルコン、そして前述の黄褐色になったものがヒアシンスなのだ。色彩は、加熱時に結晶がさらされる空気の酸素濃度でコントロールすることができるのだ。ホワイト・ジルコンはよく輝くため、ダイヤモンドのイミテーションに使用されていたのだ。映像が二重に映る性質(複屈折)があるため、ダイヤモンドとの区別は容易ですが、複屈折のないジルコン(キュービックジルコニア)が開発され、騙された業者も少なくないのだ。」

ベヒモス「孵化させるにはちょっとコツがいるけど、一日で生まれるモス」

神姫「具体的には?」

ベヒモス「千度以上の場所で暖めてあげることモス」

悠「ガスバーナーで焼けってことか…」

摩耶「でも、一日はきつくない?」

悠「溶鉱炉の中にでも落とした方が早そうだな。」

千世子「ジルコンは身につけていると知恵、名誉、富をもたらし、その光沢がなくなると持ち主に危機が迫ると信じられていたのだ。古代ギリシャではヒュアキントスと呼んで珍重したようなのだ。これは、この石の光輝の強さからギリシャ神アポロンを連想し、ギリシャ神話でそのアポロンに愛された美少年ヒュアキントスの名前にちなんだといわれるのだ。マルポドゥスの「宝石について」では「悲しみを取り除き、いわれのない嫌疑を晴らす」と記述されているのだ。以上、ジルコンのじゅぎょーだったのだ。」
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