ー奇談ー學校へ行こう2

ー教室(4/16/夜)ー

毎夜行われる、浮き世離れした夜の授業。
今日も取り壊されないまま、時代から取り残された廃校で授業がはじまろうとしていた。

悠「なかなか美味いなこれ」

摩耶「なになに?玉蜀黍のお茶?」

神姫「悠って変わった飲み物見つけてくるわね」

花描「本人が変わってるからな」

悠「どーいう意味じゃい」

花描「そのままの意味だよな?」

摩耶「うんうん」

神姫「よくわかるわ。」

悠「えぇ…」

千世子「はーい、じゃあじゅぎょー開始なのだ。」

神姫「ルシファーが反乱を起こしたのはわかったけど、神に愛されてたのになんで反逆したの?」

千世子「その動機もいくつか掲示されているのだ。代表的なものは二つなのだ。ひとつは傲慢さが原因説。」

悠「傲慢をつかさどる悪魔だしな」

千世子「神によって優秀に作られたルシファーは、自分は神よりも偉大な存在だと錯覚し、偉大さに見合った地位を求めて反乱を起こしたというのだ。」

花描「なるほど。自分の欲に溺れたわけだな。」

摩耶「もうひとつの説は?」

千世子「嫉妬が原因なのだ。キリスト教の天地創造において天使は一日目に作られたというが、神はその後、六日目に作られ、能力的にも天使に劣っている「人間」を愛したのだ。これに嫉妬したルシファーが反乱を起こしたのだ。ルシファー以外の天使も同じ嫉妬にかられた可能性があるため、ルシファーの反乱軍が大軍になったことを説明しやすい節なのだ。」

悠「嫉妬は醜いなぁ」

摩耶「悠くんは嫉妬しないよね。三次元には」

悠「三次元は諦めてるんだよ」

神姫「なにによ…」

千世子「キリスト教が誕生した時点では、ルシファーはまだ生まれていなかったのだ。はじめてルシファーという悪魔の存在を指摘したのは、三世紀ごろの神学者「オリゲネス」だというのだ。西暦二百三十年にオリゲネスは自分の著作のなかで、旧約聖書の一部「イザヤ書」には、いままで知られていなかった悪魔のことを指摘しているのだ。」

悠「天から落ちた明けの明星の一節か」

千世子「オリゲネスは天国を追われた天使のことだと考えたのだ。この「明けの明星」にはラテン語の「lucifer」という単語があてられていて、後世この「ルシファー」という単語が、堕天使の名前になったのだ。」

摩耶「イザヤ書って酷なこと書いてるんだね」

千世子「あきらかに天使の堕落ではなく、キリスト教の前身「ユダヤ教」の敵である、バビロニアの王を中傷する表現なのだ。つまり聖書を正統に解釈すれば、ルシファーなどという堕天使は存在しないことになるのだ。」

摩耶「オリゲネスがイザヤ書を読み間違えたの?」

花描「意図的な別な意味を持たせたのか?」

千世子「それはあきらかじゃないのだ。ただルシファーの存在はあっというまにキリスト教神学者に浸透し、ルシファーは晴れて堕天使の筆頭となったのだ。今日はここまで続きは次回なのだ。」
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