ー奇談ー學校へ行こう(2)6

ー教室ー

毎夜行われる、浮き世離れした夜の授業。
今日も取り壊されないまま、時代から取り残された廃校で授業が始まろうとしていた。

悠「ひゅぃ……さむさむだぜぇ……」

摩耶「どえりゃあスゲェ寒波が来てるらしいる。」

悠「がぼがぼぼぼっ」

千世子「泡吹いてるのだ」

神姫「蟹かしら」

亘理『蟹坊主?』

悠「両足八足、横行自在にして眼、天を差す時如何」

神姫「ちょっと独鈷投げるわね。」

悠「無理無理死んじゃう!!」

亘理『どういうこと?』

千世子「蟹坊主の伝説では最後、旅の僧に独鈷を投げられて死んじゃうのだ」

サタン「どっこってなんなのだ?」

悠「独鈷は密教で用いる法具、金剛杵(こんごうしょ)の一種だ。」

サタン「つまり……武器なのだ」

悠「間違いではない。」

千世子「そうなのだ?」

神姫「鉄製で、両端がとがった短い棒状のもので殴られたら痛いから十分武器になるわね。」

摩耶「確かにそれをもって法力的なものを発動するよりはぶん殴ったりぶん投げてぶつける方が効果は高そう」

悠「実際化けガニをブッ倒してるからな。」

亘理『それを投擲できる僧ってなんなの?』

神姫「荒行を成し遂げられる人間なのよ?そのくらい軽いでしょ。」

悠「ぶっちゃけゲームの僧侶とかは魔法職のイメージ強いけど日本の僧はバリバリの肉体派だからな」

亘理『そうなの?』

悠「そうなの。」

摩耶「荒行僧の一日は、早朝二時に起床して、朝三時、一番の水から午後十一時まで一日七回、寒水に身を清める「水行」と、「万巻の読経」「木剣相承」相伝書の「書写行」があって、朝夕二回、梅干し一個の白粥の食事の生活が続くね。」

亘理『ひぇっ!』

サタン「それ、なんの意味があるのだ?」

悠「黙々として「懺悔滅罪」する修行であり「謗法懺悔、罪障消滅」の苦行だ。法華経万巻の読誦、唱題、水行、その他の勤役が「所作仏事」となって、目には見えないが「現世安穏後生善処安穏の法華経」の「妙法経力」が自己の心身に功徳霊気となって蓄積し、祈祷修法に当ってこれが発動を見修法を受ける人々に効験利益を顕して妙法弘布の大願をも成就する……。」

サタン「Zzz」

悠「寝るんじゃない!」

神姫「ようするに悠がやるべきことよ」

悠「神姫さんのお父様に荒行みたいなことさせられてるんですがそれは?」

摩耶「まだまだ足りないってことでしょ。」

神姫「効果が出てないものね。」
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