ー奇談ー學校へ行こう(2)6

ー教室ー

毎夜行われる、浮き世離れした夜の授業。
今日も取り壊されないまま、時代から取り残された廃校で授業が始まろうとしていた。

悠「寒いからぴよこ、おれの膝に座っていいぞ。」

千世子「なんでなのだ?」

悠「子供の体温は高いからな」

摩耶「で、セクハラすると」

悠「ほっぺを揉みまくってやる、げへへっ。」

【シトリン】

千世子「はい、じゅぎょーしますなのだ。「シトリン」は水晶の仲間で、美しい黄金のような、黄色やオレンジ色の宝石になることが知られているのだ。和名は「黄水晶」と呼ばれているのだ。」

神姫「いがぐりでも揉んでたらいいのに」

悠「血まみれになっちゃうよ?」

神姫「ふふっ」

悠「えー……笑われたんだけど」

累「血が見たいんじゃないの?」

千世子「シトリンの名前の由来は「シトラス」。つまり、柑橘系の果物の事なのだ。確かにシトリンの色は、レモンやみかんを思い浮かばせる色合いなのだ。黄色の宝石は、天に輝く太陽の色を持つものであり、無限にあふれ出るその力を象徴しているとされているのだ。シトリンもまた、太陽のように陽気でハツラツとしたエネルギーをくれる宝石であり、コミュニケーションを円滑にし、自己主張もきちんとできる、前向きな力を与えてくれるとも考えられているのだ。また、金運や商売運を呼ぶとされているのは、その色合いが金貨をイメージさせるからでしょうか?」

悠「魚とか捌いてみてくれ。」

摩耶「魚料理?」

悠「今の時期はあら汁とかあらの煮付けとかいいよな。」

亘理『なんでアラばっかり?』

悠「アラ美味いだろ」

千世子「「シトリン」は「トパーズ」と並んで11月の誕生石とされているのだ。シトリン自身がトパーズとよく似た色合いの宝石で、市場では「シトリントパーズ」などと、呼ばれていることもあるのだ。」

摩耶「悠君は丸ごと齧るほど好きだよね。」

悠「おれは皿小僧かなんかか」

神姫「カッパかもしれないわよ。」

悠「禿げてねぇよ!」

亘理『カッパも禿げではないんだけどね。』

千世子「しかし、あくまでもシトリンは「水晶」の一種。鉱物としては「石英」と呼ばれるものなのだ。時には単に「トパーズ」として売られていることもあるので、購入するときは、別の宝石であることを心にとどめておくのだ。」

摩耶「悠君は禿げに敏感だよね。」

悠「おれの美しい艶髪が失われるのはよくないからな」

神姫「恥ずかしげもなくよく言えるわね。」

悠「うんっ!」

サタン「元気良すぎなのだ。」

千世子「もっとも、比重や硬度を使って調べることで、両者を判別するのは簡単なことなのだ。シトリンの比重は2.65。トパーズは、3.54で、トパーズの方が、比重としてはずっと重い鉱物ですし、シトリンの鉱物名である「石英」の硬度は7で、トパーズの硬度は8。「トパーズ」の硬度にはかなわないのだ。」

累「髪の毛は売れるしね。」

リリス「千味ちゃんの髪が定期的に短くなってるのは何でなのかしら。」

累「ちょっと何言ってるのかわかんないわ。」

悠「今自分で答えいったようなもんなんだよなぁ。」

摩耶「しかして、真相は闇の中」

千世子「天然石にもシトリンは存在しますが、産出量はごく少なく、宝石として加工する価値のあるものは、極まれなのだ。市場に流通しているシトリンは、多くの場合「アメジスト」(紫水晶)を熱処理することで、色合いを黄色く変色させて人工的に作りだされているのだ。以上、シトリンのじゅぎょーだったのだ。」
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