ー奇談ー學校へ行こう(2)6

ー教室ー

毎夜行われる、浮き世離れした夜の授業。
今日も取り壊されないまま、時代から取り残された廃校で授業が始まろうとしていた。

悠「スライムって食えるんだな。どっちかというと食ってくるイメージだけど」

摩耶「僕はしゃくねつを吐くイメージ」

悠「チャンプか」

サタン「基本的に食べ物ではないのだ」

神姫「ああ、やっぱりそうなのね。」

千世子「はい、じゅぎょーしますなのだ。トルマリンには「焦電性」と「圧電性」という、電気に関係する特別な性質があるということが、知られているのだ。「焦電性」というのは、熱を加えることによって、電気を浴びる性質のことなのだ。まず、電気的な性質の異なる物質の粉末を2種類用意するのだ。片方はプラスの、片方はマイナスの電荷を浴びやすい物質で、よく混ぜ合わせておくのだ。」

スキュラ「スライムの種類にもよりますが、基本的に無味無臭の水状物系のスライムは色々な物に利用されているんですよ。」

悠「例えば?」

スキュラ「毒物の浄化に使ったり、逆に毒物を増やしたり。可燃性変化させて燃料代わりにしたりと」

悠「あらやだ、凄いじゃないの。」

摩耶「逆を言えばあらゆるモノに変えられ続けるスライム」

神姫「魚が釣られて、開かれて、干されて、焼かれて食べられるみたいな」

千世子「実験では、硫黄の粉と、赤い鉛丹(酸化鉛)などが使われることが多いようなのだ。次にトルマリンを200度ほど加熱して、ゆっくり冷ましながら、用意した粉末を少しずつ振りかけてみるのだ。すると、トルマリンの片側にはプラスの、片側にはマイナスの粉が吸い寄せられていくのだ。」

サタン「でも一番楽しいのはいっぱい集めて爆発させたりすることなのだ。」

悠「スライムいじめよくない。転生してすげー化け物スライムになって帰ってきたらどうするんだ。」

サタン「……メテオ?」

悠「あらやだ、全破壊」

摩耶「やることはあんまり変わらなかったね。」

千世子「これはつまり、熱を加えることによってトルマリンが帯電し、電気的な極性が発生した、ということを示しているのだ。これがトルマリンの「焦電性」なのだ。また「圧電性」というのは、トルマリンを結晶の方向に対して、一定の方向で押したり、引っ張ったりすることで、やはり帯電する性質のことなのだ。」

スキュラ「ですが、実際スライムのなかには危険な種類もいますからね。」

悠「スライムベホマズンとか」

神姫「ヤバいっていうより、うざいスライムね。」

摩耶「どういうのがヤバいの?」

スキュラ「破裂すると致死性のウィルスを振りまくスライムとか」

悠「パープルヘイズかな」

千世子「トルマリンをヨーロッパに持ちこんだオランダ人たちは、この性質を知っていて、温めたトルマリンを使って、パイプの汚れた灰を吸い寄せ、掃除するための道具として使っていたそうなのだ。今日はここまでで続きは次回なのだ。」
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