ー奇談ー學校へ行こう(2)6

ー教室ー

毎夜行われる、浮き世離れした夜の授業。
今日も取り壊されないまま、時代から取り残された廃校で授業が始まろうとしていた。

悠「ズズッ、ズズッ、ふー、美味い。」
ガタガタ

摩耶「このくっそ寒いのにアイスコーヒーをよく飲むね。」

悠「猫舌なんだよっていっとけば納得してくれる?」

摩耶「ぜんぜん。タコ焼きとか熱々の食べてるのしってるし」

悠「えへ♪」

神姫「ひっぱたいていい?」

悠「理由をお聞かせ願おうか」

神姫「今のアクションがイラついた」

悠「おれの可愛い部分が出ただけなのに」

神姫「は?」

悠「おれの可愛い部分…」

神姫「は?」

悠「お、おれのぉ…」

千世子「あんちん謝って、今すぐ謝ってなのだ。」

悠「それでもおれはやっていない!」

摩耶「いや、そういうんじゃないから。」

亘理『悠ちゃん悠ちゃん!』

悠「なんじゃい!こちとらいまおれの可愛い部分を必死に神姫に伝えとるところじゃ!」

神姫「伝わらないから、殺意だけは伝わってるけど」

悠「ああ、殺したいほど愛してる的な」

神姫「……」
ダッ、バシッ、ブォン!
悠「ぐぇっぇ!」
ドダァーン!

亘理『……え、なに今の』

摩耶「フランケンシュタイナー(※)だね。」

※:正対した相手に向かって跳び上がり(ドロップキックの要領で)、自らの両足で(オリジナルでは太股付近)相手頭部を挟み込んで、そのままバク宙のような形で回転しつつ、そうして巻き込んだ相手の脳天をマットに叩きつける技。

千世子「か、かっこいいのだ!」

摩耶「それで亘理ちゃんなにかあった?」

亘理『あ、そうだ。あのさ、あの緑の水飴あったじゃん。アレッて冥ちゃんが作ったお菓子だったみたい。原料はスライムで』

摩耶「そうなんだ。……ん?」

神姫「原料がなにって?」

亘理『スライム。スライムに食紅と砂糖とかを適量混ぜて振って作るんだって。』

千世子「それ、食べて大丈夫なものなのだ?」

亘理『毒性とかはないスライムだから平気だって。一個もらってきたよ。イチゴ味のスライム水飴。』

神姫「……食指が動かないわね。」

摩耶「こういう時は悠君と言いたいけど」

悠「……」

千世子「さっきから動いてないのだ」

摩耶「まぁ、フランケンシュタイナーで叩きつけられたわけだからね。マットの上でもないし」

神姫「我ながらだけど……今のは完璧に決まったと思うわ。」
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