ｰ教室ｰ

毎夜行われる、浮き世離れした夜の授業。
今日も取り壊されないまま、時代から取り残された廃校で授業が始まろうとしていた。

悠「この辺りでいいかな。」
ゴトッ

摩耶「あれコーヒーメーカー?」

悠「ああ、家で使ってないから持ってきた。これでいつでもコーヒー飲めるぞ。」

神姫「あれだけ缶コーヒーがどうのこうの言ってたのにコーヒーメーカーで落ち着くのね。」

悠「さすがのおれも自販機は持ってないからな。」

千世子「缶コーヒーを箱買いしておいとくのはダメなのだ?」

悠「自販機から出てこないからダメ」

千世子「こだわりなのだ。」

摩耶「こだわり×めんどくさい○」

悠「ちなみに今持ってきてる豆はキリマンジャロだ。さっそく淹れようか。」
ポチポチ

サタン「霧蔓蛇呂?」

悠「なんだその化け物は。キリマンジャロは山だ。山。」

神姫「ちなみにタンザニアで穫れるわね。」

悠「味は強い酸味と甘い香りと豊かなコクがある。割とあっさりとした飲み口で、重くならない。その反面、コクもしっかりしてるし、軽くなりすぎることもなく程よい味わいだ。」

亘理『でも、酸味が強いんでしょ?なんか味がきつそう』

悠「なんだと、天井から降ろすぞ!」

亘理『……』
ススッ(天)↑
ズズッ(床)↑

神姫「普通に下に降りてきたけど」

悠「よし、酸味について語ろう」

亘理『あれ、語るの?!』

千世子「あんちんはめんどさいのだ。」

サタン「まぁ、聞いてやるのだ。」

悠「まず酸味と聞くと、どんなイメージだ?」

亘理『すっぱい』

悠「じゃあ、オレンジジュースやフルーツに酸味はあるだろ。この酸味がなかったら、物足りない味になる。」

亘理『あー……』

摩耶「あまーーいのが好きな人はそれで物足りそうだけどね。」

悠「良質な酸味はすっきりしてて、みずみずしく、心地よいアクセントになるものだ。「すっぱい」で表現されて、ネガティブにとらえている酸味は、そのものが劣化したときに出てくる酸味なんだ。」

神姫「いわゆる腐敗的にな酸味ね。」

摩耶「夏場の三角コーナー」

亘理『うえっ…。』

悠「一般に、みずみずしい酸味を特徴とするのは中南米や東アフリカ産のコーヒーで、インドネシアなどアジアや太平洋の島々のコーヒーからは酸味がほとんど感じられないといわれてる。そのあたりのコーヒーを飲んでみるのもいいぞ」